最後の正念場であった2日間の米中通商協議も、結局最後は途中で協議を中止した格好で終わり、先週10日から中国製品2000億ドル(約2兆円)に対する関税が25%に引き上げられました。
これまでの経緯を振り返ると、昨年7〜8月にかけて500億ドル相当の中国製品に対して25%の関税が適用されたことが第1弾でした。その後、9月24日には第2弾として2000億ドル相当に10%を適用し、そして、今回10%の関税を25%に引き上げたことが第3弾になります。USTR(米通商代表部)は、残り3000億ドル相当にも関税引き上げを計画し、その品目を本日にも公表する予定です。
残りの3000億ドルに対する関税25%は、仮に決まってもその実施には数カ月かかるとされていますが、ここまでくると昨年から景気後退が続き、今年に入りようやく減税や景気刺激策の効果が出始め、景気後退に底打ち感も出来た中国経済が再び大きく減速する可能性が高まります。中国側も対抗措置を考えており、一旦沈静化の兆しをみせた米中の「貿易戦争」は再び激化し、世界景気にとっては非常に大きなリスクとなってきました。米国の関税引き上げ決定を受け、週明けの上海総合株式指数は一時「2840」前後まで売られ、直近高値から1割以上も下げています。また日本株も下げが続き、これで新元号「令和」が始まってからは連日下げて、一度もプラスで引けた営業日はありません。日本の株式市場にとっては、厳しい令和時代の幕開けになっています。
為替市場は、株式市場ほど荒れてはいませんが、すでに110円台が重く感じられる相場展開になっています。今のところ、105円を割り込み円が急騰する気配はありませんが、市場参加者の目線は下方に修正されており、「ドルの戻りを売りたい」とする投資家が増えていることは間違いありません。そのため、108円台を割り込むようだと、「ドルロングの投げ」も巻き込み、一段の円高に振れる可能性もでてきます。米中貿易戦争の影響は米国よりも中国の方が圧倒的に不利だとの観測があり、米国の経済優位性に再び市場の目が注がれれば、ドル反発の機会もあろうかと思いますが、それには時間もかかり、米国優位性を正当化する経済指標の発表も待たれます。
本日、ブルームバーグの経済セミナーがあり、同社のエコノミストの話を聞く機会がありましたが、そこでも、「米中貿易戦争の激化を受けて不確実性が高まっている中、相対的に米国の不確実性は低い」との結論でした。
今週は経済指標も、イベントも重要なものは予定されていません。従って唯一の材料である米中の報復合戦に、より注目が集まります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
