今週の材料は何と言っても28日から始まる「G20」で、それも「G20」そのものと言うよりも、そこで繰り広げられる首脳同士による外交すなわち、「トップ会談」ということになります。「G20」そのものはすでにサロン化しており、その影響力はほとんど無いと言ってもいい状況で、議長国の日本が「保護主義」の台頭に対してどのように警告を発し、これ以上保護主義化が進むのを防げるのか。また共同声明文にその趣旨を反映できるのかといった意味合いはありますが、それ以上のものでもありません。
市場関係者の多くが、開催されるであろう「米中首脳会談」の成り行きに最大の注目を払っています。米中通商協議は中断されたまま、再開のめどは立っていません。その間、米中では関税引き上げ合戦が始まっており、それも最終章に来ている状況で、このまま時間がたてば米中貿易戦争の影響から世界経済が減速するのは必至です。IMFは今月5日に、「米中貿易戦争が激化したら、2020年は世界経済が0.5ポイント下押しされると分析し、中国は1.0ポイント、米国でも0.2ポイント成長が下押しされる」と警告しています。
米中首脳会談でトランプ大統領と習近平主席が直接会談することで、何らの解決に向けた糸口が見つかる可能性はありますが、現実的には市場はそれほど楽観視していません。ただこれまでの経緯を見ると、トランプ氏は口に出した事柄はほぼ実行に移す可能性が高く、すでに公聴会が始まった、中国製品3000億ドル(約32兆2500億円)相当に対する25%の関税発動も、「単なる脅し」ではないということを、中国側が理解していると思われることです。そのため、習近平主席も単なる顔あわせで「ニィハオ」と外交的な笑顔を見せるだけではなく、ある程度の譲歩を心して会談に望むものと予想しています。その譲歩を米国側が飲むかどうかが焦点に一つです。そこからどのような結末が生まれるかは不透明ですが、最低でも今後の実務者同士による協議継続という部分での合意は見られるものと思われます。そして、市場がどのような反応を見せるのかという点は、これまた非常に不透明です。
先週のFOMCを経て、FRBの利下げ姿勢が鮮明になったことから、ドル円は先週107円割れ目前のレベルまで円高が進んで来ました。特筆すべきは、景気減速が続き、追加緩和の可能性も浮上してきたユーロドルでさえも「ユーロ高ドル安」が進み、先週末には3カ月ぶりに1.13台後半までドル安が進んだことです。世界で最も取引量が多い通貨ペアのユーロドルででもドル安が鮮明になると、やはりその流れが他の通貨にも及ぶ可能性が高まります。今週は米中首脳会談がどこまでドルの下値を支えることが出来るのかを試す週になろうかと予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
