先週のドル円は、G20大阪サミットでの米中首脳会談に対する悲観的な見方や、米長期金利が節目の2%を割り込み、一時は1.98%台まで低下したことを手がかりに、週央には106円77銭まで円高ドル安が進みました。週末にかけてはポジションの巻き戻しが見られドル円も108台まで戻す場面もありましたが、結局107円台後半で土曜日の「米中首脳会談」を迎えることになりました。
米中首脳会談でどのような内容が話し合われたのか詳細は不明ですが、トランプ大統領は「予想よりもはるかに良いものだった」との感想をツイートし、ファーウェイに対する部品の輸出を条件つきながら認めることを発表しています。懸念されていた中国製品3000億ドル(約32兆3600億円)に対する追加関税の発動は先送りされ、これにより米中だけではなく、世界経済の下振れ不安が後退。リスクに対して身構えていた投資家はやや「ほっとした」といった状況です。今後再び中国に対する制裁関税第4弾の発動がないわけではありませんが、米中間の貿易不均衡はかなり改善される見通しになっています。ただ米国と中国の「覇権争い」は根が深く今後も続くと見られ、これで「手うち」というわけにはいかないと思われます。電撃的な米朝首脳会談も軍事境界線のある板門店で開催され、トランプ大統領は、米国大統領として初めて北朝鮮の地に足を踏み入れることにも成功し、これら2つの成功体験が既に始まっている2020年の大統領選を有利に導くのは間違いないところでしょう。
今週は週末に「6月雇用統計」の発表があります。重要なイベントを経過したことで投資家の関心は、労働市場を中心とした米ファンダメンタルズに移ってくるものと思われます。雇用統計では5月の非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回り、さらに4月分と3月分も大きく下方修正されたことは記憶に新しいところです。それでも今のところ、失業率が49年ぶりの低水準で推移しており、賃金も安定的に伸びていることから、それほど労働市場に対する懸念は高まってはいないものの、3カ月連続で雇用者数の伸びが鈍化している事実は無視することはできません。今回再び雇用者数が予想を下振れするようだと、FRBの年内の利下げ回数にも影響を与える可能性もあり、それだけに今回の結果は極めて注目度が高いと予想されます。もちろん、現在16万人と予想されている雇用者数が上振れるようだと、急速に高まっている利下げ観測に水を差すことになります。
今週はユーロドルの動きにも注意したいところです。ユーロドルは域内の景気悪化を背景にユーロを売る動きが強まっていましたが、1.11台前半が底堅く、何度か試したものの全て押し戻され、その後6月に入りドル安の流れからユーロを買い戻す動きが相場を押し上げ、先月下旬には1.14台まで反発してきました。今後1.14台半ばをしっかりと超えると、チャートではもう一段の上昇が予想されるような形状を示していることから注意が必要です。ユーロドルの上昇が、ドル円でもドル安円高を誘発することも考えられ、その意味でも動きには注目していきたいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
