先週は貿易問題を巡る米中首脳会談での結果を受け、窓を開けて上昇したドル円でしたが、週後半にかけては108円台半ばを天井にジリジリと値を下げ、結局首脳会談前の水準まで値を下げ、窓を埋める動きでした。注目された6月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を大きく超える「22.4万人」だったことで、米景気に対する過度の利下げ観測が後退。ドル円は108円64銭まで上昇し、108円台半ばで越週ました。
米長期金利の急低下がドル円下落の直接的な要因でしたが、その米長期金利は2%割れが定着しそうな状況でした。それが、先週末の雇用者数の上振れで2.03%台まで反発しましたが、良好な雇用を受け、今後は「2%の攻防」といった水準になろうかと思います。そうなると米長期金利との相関が高いドル円も再び107円を割り込み、106円台半ばを試すといった見方もやや後退するのではないかと予想します。
今朝のブルームバーグニュースに、「6月の良好な雇用統計で今月の利下げ見送りか?」といったヘッドラインがありました。個人的にはそれはないと思います。6月の利下げ確率を「100%ある」と読んだ市場の期待が仮に間違いだったとしたら、市場予想は「100%違っていた」ことになります。利下げ期待から連日の様に上昇を続け、主要3指数が揃って史上最高値を更新した株式市場は、もし利下げを見送った場合にはかなりの下落を覚悟しなければなりません。FRBがそのような、「混乱を招くようなことはしないだろう」というのがその理由ですが、この点も含めて今週10日(水)に行われるパウエル議長の下院での証言が注目されます。ここで議長は今後の政策金利の方向性を、フォワードガイダンスという形で示唆すると予想されますが、問題はその発言内容が、今後のさらなる利下げにつながるのかという点です。一部で予想されていた「0.5%の利下げ」は、すでに別次元の話かと思います。また、再三にわたってトランプ大統領が利下げ圧力を強めており、昨日も「金融当局が自分のしていることを分かっているなら、利下げをするだろう」と再度批判を行っています。議会証言では、「FRBの独立性」に関する質問も予想され、これに対して議長がどのように答えるかも注目されます。
ドル円は106円台がやや遠のいたと思われますが、それでもまだ上値の重さは続いていると判断しています。これまでの107円を挟む動きからは1円ほど上方にシフトして、107円−109円のレンジが基本でしょう。その中で、今後の米長期金利がどのような展開を見せるかによって方向性が決まってくると思われます。また、先週ユーロドルは反発して1.14台に乗せましたが、結局1.1430−40近辺にあるレジスタンスを抜けずに反落してきました。その水準を上抜けできれば、もう一段の上昇も可能だったと思われますが、再び1.12割れを試す水準まで落されてきました。下値もそこそこ堅いと思われるため、1.1150〜1.140のレンジで推移すると予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
