先週一時は108円99銭までドルが反発しましたが、109円台に乗せることなく、再び107円台まで押し戻され「元の鞘」に戻ってきました。もっとも、109円目前までドルが反発した理由も、その前の週の雇用統計が予想以上に好調だったことでドル買いが活発になりましたが、基本的にはショートの買い戻しが主体であって、ドルを新規に買おうという動きではなかったようです。今月末にはFOMCが開催され、そこでの利下げはほぼ間違ないところで、それまでのレンジを107−109円と見ていますが、それでもリスクはやはり下方にあると考えておくべきでしょう。
米経済指標は、住宅関連にやや明るさが出てきてはいるものの、依然として強弱まちまちで、「好調というわけではないが、リセッションにつながるほど悪いわけではない」というのが実情でしょう。それでもFRBの金融政策スタンスは「ハト派寄り」と見て間違いありません。それは、株式市場で3主要指数が揃って史上最高値を更新し、債券も堅調に推移し、金が買われていることを見ても明らかです。今後金利が低下するという見立ての基、ドルが売られ、円が買われている状況です。焦点は今後の利下げの回数です。年内4回というのはさすがに米景気を弱気に見過ぎていると思いますが、2回なのかあるいは、3回になるのかで今後のドル円の水準も異なってきます。もし3回とすれば、今月に続いて9月と、12月という線が濃厚となり、その場合にはドル円は105円を下回る水準になっていてもおかしくはありません。
一方で今月利下げを決めた後、残り1回とすればドル円もそれほどは下げない可能性が高いと思われます。ただし、その予想は現時点では難しく、今後発表される経済指標次第ということになります。FOMCメンバーの多くは利下げに前向きですが、シカゴ連銀のエバンス総裁や、ダラス連銀のカプラン総裁のように、利下げには慎重な姿勢を示す委員もいます。カプラン総裁は先月の講演で、「貿易を巡る緊張と不確実性がこの2カ月で大幅に高まり、見通しの下振れリスクが高まったが、それでも利下げの準備はまだ整っていない。米金融政策のスタンス変更が適切かどうか考える上で、より多くの時間をかけて状況の変化を見るのが賢明だろう」と述べています。
それでもFRBのスタンスが、今後「利下げの理由」を探す方向という意味ではドルの上値を抑えることになります。また、政治日程的にも利下げ圧力は高まると予想されます。好景気の維持は大統領選にとっては共和党も民主党もなく「好材料」になるからです。今週は特段重要な材料はありませんが、月末のFOMCに向けて利下げ回数を読み取る材料を探る展開になりそうです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
