これまでは108円を挟みもみ合いが続いていたドル円は、先週後半には、ウイリアムズNY連銀総裁など、FOMCメンバー幹部らの「ハト派寄りの発言」や、中東ホルムズ海峡で米海軍がイランの無人機を撃破したことでリスク回避の円買い強まり、107円台前半までドル安が進みました。ただ週末にはその前日に大きく売られた日経平均株価が前日の下落分を埋めたことや、大幅な利下げ観測が後退したことでドルが買い戻され、108円前後の動きが続いています。
今月末のFOMCに向け、市場の関心は引き続き「利下げ幅」ということでしょう。米景気の鈍化傾向は否定できませんが、それでも「0.5%の利下げ」が本当に必要かどうか、議論が分かれるところです。先週末に発表された「ミシガン大学消費者マインド」は市場予想を上回る結果でした。発表される経済指標は依然として「強弱まちまち」の結果です。そのため、FRB内部でも利下げ幅だけではなく、「利下げそのもの」を巡り、意見が分かれています。
シカゴ連銀やボストン連銀総裁などは「利下げは必要ない」との立場を取っており、その理由に好調な米景気を挙げています。一方でパウエル議長や、クラリダ副議長など、FRB幹部には利下げを支持する人が多いようです。今週は26日(金)に米4−6月期GDPの速報値が出ます。市場予想は「1.8%」とありますが、コンセンサスは「もう少し悪い」といった予想ですが、その結果次第では再び「0.5%の利下げ」観測が台頭する可能性もあります。そのため今月末のFOMCで、仮に「0.25%」の利下げが決ったとしても、それ自体はドル売り材料にはなりにくいと思います。
また今週は日米欧の金融政策会合の先陣を切ってECBが理事会を開きます。ここでの利下げはないと予想されていますが、ドイツの製造業の悪化が止まらず、域内全体の景気浮揚の兆しが見えない中、ECBは利下げに向けた何らのメッセージを発すると予想されます。早ければ年後半、遅くとも来年には再び政策金利のマイナス幅の拡大。そして資産購入の再開も視野に入ってきそうです。ユーロドルは、1.12突破を何度も試していますが、市場全体の「ドル安の流れ」に引っ張られ、1.12割れは回避されています。ドル安傾向と景気悪化を背景としたユーロ安の「綱引き」といった状況です。チャートの動きから判断すれば、ややユーロ安に組みしたいところです。
利下げ幅拡大観測とイラン情勢の緊迫から、引き続きドルの上昇よりも下落リスクの方が高いと見ています。従って今週も、ドルの戻りを売るスタンスが有利かと思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
