米中貿易戦争のさらなる激化と、中国人民銀行が元の中心レートを対ドルで節目の「7.0」を上回る元安水準に設定したことを受け、米財務省が中国を「為替操作国」に認定したことで、先週ドル円は105円台に突入し、105円50銭まで売られました。米株価は乱高下、長期金利も一時は1.6%を割り込み一段と低下しました。金価格も1500台ドル台半ばまで買われ、リスク回避の流れがさらに強まった1週間でした。世界景気の鈍化を織り込む形でインドやタイ、ニュ―ジーランドなどが次々と利下げに踏み切り、その流れはさらに続きそうです。
週明けの12日、日本は祝日でしたが、ドル円は欧州市場でさらに値を下げ、105円05銭まで円高が進み、「105円割れは時間の問題」と言ってもいい状況になっています。13日の日経平均株価は米国株が大幅に下げたこともあり、一時300円を超える下げを見せましたが、ドル円は堅調で105円台半ばで推移しています。株価の割にはドルが堅調だと言えますが、裏を返せば、105円前後が非常に重要な節目であることの証左とも言えます。個人的には105円割れは近いと見ていますが、一方で多くの市場関係者が105円を割り込み、さらに円高が進むとの予想に傾いてきたことを考えると、もしかしたら、短期的には反転することもないとは言えない気もします。相場とは、得てしてそういったことも多く、「人の行く裏に道あり花の山」という格言もあります。多くの人が同じ方向に歩いたら、反対方向に進むことも大切ですといった教えでしょう。米中貿易戦争の長期化、香港やアルゼンチンなど、地性学的リスクの増大といったことを考えると、ドル円は今後も下落リスクの方が高いと見ていますが、注意が必要な水準に入ってきたということは言えます。
米長期金利は再び低下傾向を見せ、1.6%台半ばまで下げてきました。9月FOMCでの追加利下げの可能性が高まってきたことに加え、上述のように、多くの国で先を争うように予防的な利下げを行っていること。あるいは米中貿易戦争を巡って、お互いが非難の応酬を繰り返していることなど、米債券が買われ、金利が緩やかに低下していくことは想像に難くありません。これまでは、FRBによる利下げ観測から米国株が上昇してきましたが、足元ではその動きにも黄信号が点滅し始めています。今後何かのきっかけで米国株が上昇に転じるようなら、金利低下に伴って下落するドル円のサポート材料になることも考えられます。
ドル円が105円を割り込んだとしたら、下値のメドは今年1月3日早朝の「フラッシュ・クラッシュ」の際に記録した104円台後半から、2018年3月の104円64銭までのゾーンが極めて重要なサポートと考えます。今週は、その水準を試しに行くのか、あるいはここで下げ止まり、一旦は反転するのか、お盆休み中とは言え、気が抜けません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
