米中貿易戦争は来るところまで来たといった印象ですが、9月1日に「制裁関税第4弾」が発動され、残るはクリスマス商戦に考慮して先送りされた1600億ドル(約16兆9900億円)相当の中国製品に対して12月15日に15%の関税を課すのみとなっています。これがもし発動されると、中国から米国に輸出されるほぼ全製品に対して関税が引き上げられることとなり、見方を変えれば「貿易戦争」はほぼ終了することとなり、後はその影響が米中、あるいは日本を含めた他の国々にどの程度及ぶのかといった問題になります。結局、米中の関税引き上げ合戦ではお互いに折れることはなく、最後まで来てしまい、今後は例えば、数量規制とか通貨問題に移って来ることも予想されます。
「貿易戦争に勝者はいない」とはよく言われた言葉ですが、これまでのわれわれの理解では、勝者はいないが貿易戦争では、より中国に大きな影響が出るはずと理解しており、だからこそ、この事を理解しているトランプ大統領が強気な姿勢を崩さないのだと考えてきました。ところが、直近のブル−ムバーグの調べによると、事実はそうでもないようです。
ブルームバーグエコのミストが分析した70万の貿易データでは、米国が最大の敗者になることが示されていると報じています。これまで米国が関税対象となった2500億ドル相当の製品について、米国による中国からの輸入は前年同期比28%減少しているが、中国以外の国からの調達はこの不足分の3分の1にすぎない。中国が供給において支配的な地位にあることは、米国の輸入者が他国で同じ製品を見つけることが不可能であることを意味するとしています。一方、中国の輸入品の供給源はより多様化されており、中国政府が関税を課した輸入品のうち、米国が供給で支配的地位にある品目は12%にとどまっている。そのため。中国企業が他の供給国に切り替えることは比較的容易であるといった分析結果を挙げ、米国の方がより影響が大きいとしています。確か日経新聞にも同様な分析結果が掲載されていたと記憶していますが、いずれにしても早晩、これが事実かどうかは判明するはずです。
制裁関税第4弾が発動された後の最初の市場であるオセアニアでは、ドル円はやや円高方向で始まり、朝方には106円を割り込む場面もありましたが、その後は106円台で静かな取引が続いています。今週は週末には毎月恒例の雇用統計もあり、今月のFOMCにおける利下げ幅を巡る思惑も絡んで引き続き動きはあると予想されます。今朝の106円割れもそうでしたが、ドルが下げた場面では予想以上にドルを買う動きがあることにやや驚きです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
