今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
10月7日 〜10月13日
ドル/円
105.50〜108.00
ユーロ/円
115.00〜120.00
豪ドル/円
71.00〜74.00

先週は1日に発表されたISM製造業景況指数が予想を下回り、10年ぶりの低水準だったことを皮切りに、ADP雇用者数、ISM非製造業も市場予想を下回ったことで、米景気の急速な鈍化が懸念され、長期金利の急低下とともに、ドル円は106円台半ばを割り込む水準まで円高が進んできました。リスク回避の流れから、日米の株式市場でもリスク資産の株が大きく売られたことから今月末に開催されるFOMCでの利下げ観測が急速に高まり、金利低下から円を買う動きが強まってきました。

そんな中発表された9月の米雇用統計でしたが、結論からすると、米労働市場は引き続き拡大基調にあるということです。失業率は3.5%と、50年ぶりの低水準を記録し、非農業部門雇用者数も、9月分は市場予想を下回ったものの、7月、8月分がともに上方修正されました。この結果、今年1−9月の平均では約16万人と、昨年と比べると減少はしているものの、リセッションを意識するほど悪くはないと言えます。このため、急速に高まっていた今月末の利下げ確率も、やや低下しています。パウエル議長も講演で、「米経済はいくらかリスクを抱えているものの、総じて良好な状態にあると言えるだろう」と述べており、一部で高まっている景気に対する悲観的な見方には組みしていません。

ただ一方で、米製造業の鈍化を示す指標が相次いでおり、中でもISMが発表する製造業景況指数では、同指数が「48」を下回った過去7回のうち5回で景気後退が起き、S&P500は17%〜47%下落したというデータもあるそうです。(日経新聞「ウオール街ランドアップ」)今週からは市場の関心が、再び10日から始まる米中通商協議の行方に集まっています。週明け月曜日にはこの協議に関するネガティブなニュースが流れ、ドル円はやや円高方向に振れていますが、個人的には「合意」にはほど遠く、良くても「一時的な休戦」に留まるものと予想しています。

仮に「休戦」もないとすれば、トランプ大統領が9月11日に突然発表した「2500億ドル相当の中国製品に対する関税30%への引き上げ延期期限」が10月15日であることから、発動されてしまうことになります。この30%の関税率適用は中国とっては非常に厳しいものになりますが、米国にとっても個人消費への影響は避けられないと思われます。

今週は、米中通商協議に注目ですが、それ以降も波乱要因が多く、今月の相場はこれまで以上に乱高下する可能性があると見ます。

今週の注目材料

  • 10/7(月)
    日 9月景気先行指数(CI)(速報値)
    中 中国8月外貨準備高
    独 独8月製造業新規受注
    米 8月消費者信用残高
    米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
  • 10/8(火)
    豪 豪9月NAB企業景況感指数
    日 8月国際収支・貿易収支
    日 9月景気ウオッチャー調査
    中 中国9月財新サービス業PMI
    中 中国9月財新コンポジットPMI
    独 独8月鉱工業生産
    英 カーニー・BOE総裁講演(東京)
    米 9月生産者物価指数
    米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
    米 パウエル・FRB議長講演
    米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
    加 カナダ9月住宅着工件数
    加 カナダ8月建設許可件数 
  • 10/9(水)
    豪 豪10月ウエストパック消費者信頼感指数
    米 FOMC議事録(9月17−18日分)
    米 IMF, 世界経済見通し発表
    米 パウエル・FRB議長講演
  • 10/10(木)
    独 独8月貿易収支
    独 独8月経常収支
    英 英8月鉱工業生産
    英 英8月貿易収支
    欧 ECB議事要旨
    欧 OPEC月報
    米 9月消費者物価指数
    米 新規失業保険申請件数
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
    米 米中閣僚通商協議(11日まで)
  • 10/11(金)
    独 独9月消費者物価指数(改定値)
    欧 国際エネルギー機関(IEA)月報
    米 9月輸入物価指数
    米 10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
    米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
    米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
    米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
    加 カナダ9月就業者数
    加 カナダ9月失業率
  • 10/12(土)
  • 10/13(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。