先週のドル円は膠着感がさらに強まり、109円台に乗せる場面もありましたが、ほぼ108円台半ばを中心とする狭いレンジでの動きでした。米中貿易協議を巡るニュースが「前向きか後ろ向きか」で相場が上下しましたが、それでも株式市場のように大きな動きにはつながっていません。このままで行けば、4月に続き月間の値幅が「1円60銭前後」に留まる可能性も高く、さらに1年間の値幅も「変動相場制移行以来最小」となる可能性も高いと思われます。今年もまだ1カ月余りを残してはいますが、今年の円の最高値である104円台と、円の最安値である112円台のどちらも抜け切るとは思えないここ数週間の相場展開です。
また足元の水準は、今年の値幅のちょうど半値のところにいます。居心地が良いといえば良いのでしょうが、大きく動く気配も感じられません。そんな中、今週の動きを予想するわけですが、テクニカル的には引き続き上昇傾向を示していると判断できます。日足の「一目均衡表」ではローソク足が雲の上で推移しており、転換線が遅行線を「好転」し、上抜けした状態が続いています。また、「MACD」ではデッドクロスが示現してはいますが、依然として「プラス圏」での推移です。「一目均衡表」では106円台半ばまで下げないと、日足でのトレンド転換が見られない状況になっています。
最大の材料である米中貿易協議についても、トランプ大統領が「合意に近づいている」と発言しただけではなく、習近平中国主席も「貿易戦争を回避するため、積極的に取り組んでいる」と発言するなど、米中両首脳も、これ以上貿易戦争を悪化させられないといった台所事情もあり、やや楽観的過ぎかもしれませんが、「第一段階」の合意には至ると予想しています。米国株が危険水域だと言われながらも高値圏で推移しているのも、同じように貿易協議に関しては楽観視していることの証左であると考えられます。
昨日投票が行われた香港の区議会議員選挙では、民主派候補が圧倒的勝利を収めたようです。本稿執筆時では、民主派候補452議席のうち少なくとも278議席を獲得した模様で、選挙管理当局によれば、294万人(有権者の約71%)以上が投票し、これまで最高だった2015年のほぼ2倍に膨らんだようです。この選挙結果に対する中国政府のコメントは今のところありませんが、今回の選挙は林香港行政長官率いる香港政府への信任投票と位置づけられ、同長官に不信任を突きつけた格好です。中国政府としても、香港警察を使ってさらに学生を追い詰めることも難しくなり、今後の成り行きを静観するしかなさそうです。
今週は、住宅関連指標が多く発表されるほか、28日は米国が感謝祭の祝日となり、翌日も株式、債券市場は短縮取引になります。そしてこの日は「ブラック・フライデー」に当たり、小売業者にとっては「黒字」を確保する重要な日になり、米国の個人消費がどれだけ力強いかを確認する日にもなります。株価が最高値を更新し高値圏にあることを考えると、個人消費も相当盛り上がると考えるのが順当だと思われ、ドル円にとってもドル高材料になると予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
