先週のドル円は、米国株の調整モードに伴い109円台後半から下落し、108円台半ばまで下落したものの、108円割れには至らず、やや水準を下げたところで一進一退の動きになっています。先週末の「完璧な雇用統計」の結果にも109円台回復とはならず、ドルの底値は堅いと思われる展開が続いているにも関わらず、「上値も重い」といった印象が強くなってきました。
そんな中、今週は重要イベントが多くあります。先ずは11日のFOMCです。今回のFOMCでは利下げの可能性はほぼなく、先週末の雇用統計の結果でさらにその感が強まりました。従って焦点は、パウエル議長の記者会見での発言になりますが、こちらの方も、足元の雇用と消費の堅調さを認識する一方、貿易問題には引き続き不確実性があり、その成り行きを注意深く見守るといった内容の発言が予想されます。また政策金利についても、今年3会合連続で引き下げた効果を見極めたいとし、来年以降の金融政策に付いては今後の経済データ次第という内容で落ち着くと見ています。これに沿った内容の発言であれば、相場への影響は限定的かと思われます。
翌日にはECBの政策金利発表があります。ラガルドECB総裁にとっては今回が最初の理事会になりますが、先ずは理事会での意志の疎通が課題となります。ラガルド総裁は、ドラギ前総裁の緩和スタンスを踏襲すると思われますが、現在マイナス0.5%の政策金利については、当面さらなる深堀りはないものと予想されます。相場への影響は、こちらもないものと思います。一方、同日に行われる英国の総選挙は、結果次第ではかなりの影響が予想されます。直近の世論調査では、ジョンソン首相率いる保守党の優位は動かないものと思われますが、そもそも2016年のEUからの離脱を問う「国民投票」の際の世論調査でも、「EU残留」が優位であったにも関わらず、ひっくり返ってしまったことを考えると、世論調査の信頼性そのものにも不安があります。今回の選挙は国民の関心も高く、それだけ不確定要素も多いと思われます。それだけに、世論調査が伝える保守党有利という報道をそのまま信じ切るのはやや危険かもしれません。
今度の日曜日(15日)には、最も相場への影響が大きいと見られる中国に対する「制裁関税第4弾」の発動期限です。トランプ大統領や側近のクドロー国家経済会議(NEC)委員長は「合意が近い」と述べてはいますが、一方で、「米国に利益のない合意はしない」とも語っており予断は許しません。今週の電話協議での成り行きが正念場となります。仮に合意に至ればドル円は109円50銭〜110円程度まで上昇する可能性があると思われ、逆に合意に失敗すれば、107円50銭〜108円程度までドルが売られる可能性があると予想します。いずれも現在の水準から上下1円〜1円50銭程度と見ていますが、合意に失敗した場合方が市場へのインパクトは大きいと思われます。このように考えると今年は、今週と来週の2週間が最後の勝負のタイミングかと思います。12月に入っても値幅の出ないドル円ですが、最後の最後に動きがあるのか、注目したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
