今年最後の「ウィークリー・レポート」になります。今週はクリスマス休暇のピークを迎えることもあり、このまま特段のニュースでも飛び込んで来ない限り、値動きはさらに縮小する可能性が高くなると予想されます。そこで、今回は来週(年明け)からの相場展望にも若干触れておきたいと思います。
米中貿易協議の一部合意とイギリスの合意なき離脱の可能性が低下するといったドルにとっての好材料があったにもかかわらず、先週のドル円はさらに値動きが緩慢となり、1週間の値幅も50銭程度と、ほぼ固定相場の様相でした。上値では、「近くて遠い110円」ではありますが、下値の方も足元では11月1日を最後に、約2カ月間108円割れを覗く円高を観ておらず、108円台半ばから下方が強力なサポートになっています。上にも下にも動けない相場です。
米中首脳による合意文書の正式署名も、着々と準備が進められているようです。このまま今年の残り10日ほどで109円と110円のどちらも抜けることは考えにくいと思われます。仮に、相場に影響がある出来事があるとすれば、堅調に推移している米国株に利益を確定する動きが出て、株安、債券高から長期金利が急低下したことで円高に振れるというケースがもっとも考えられるシナリオではないでしょうか。米株式市場では主要株価指数が連日最高値を更新しており、投資判断の一つの指標であるPER(株価収益率)は21倍を超えています。米国株は成長性が高いため、必ずしもPERが高いからといって「買われ過ぎ」と判断することは出来ませんが、過去のそれと比べると高いのは事実です。足元の「買いが買いを呼ぶ展開」から、「売りが売りを呼ぶ展開」に一気に変わることがないとはいえません。
今年の1月3日の「フラッシュクラッシュ」は例外だとしても、例年、年明け1月から2月にかけては円が買われる傾向にあります。だからという訳でもないのでしょうが、筆者が為替の専門家と言われる人達の相場観を聞いたところ、やはり「1月から2月は円高だ」という意見が多く、その多くは105円から107円程度の円高を予想していました。理由として最も多かったのが、「米中貿易戦争はまだ終わっていない」ということでした。確かにその通りで、中国製品に対する制裁関税はまだ残っており、ロス商務長官も述べているように、「最近の貿易合意は最終かつ完全なものではなく、第1段階にすぎない」と思います。ただ、今後制裁関税第4弾が回避されたように、米中首脳を取り巻く環境は変わりません。むしろ大統領選を控えたトランンプ氏と、これ以上の景気悪化を何としても避けたい習近平氏はさらコミュニケーションを蜜にし、決別は避けなければなりません。加えて、12月のFOMCで示唆されたように、好調な経済データを背景にFRBは今後利下げを一旦休止する予定です。このような理由から、仮に円高に振れたとしても105円を割り込んでさらに急激な円高が進む可能性は低いと考えます。来年早々の円高を想定して構築されたポジションが踏み上げられるようだと、思った以上にドル高が進むこともないとは言えません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
