為替市場は今年もドル安で幕を開けました。昨年1月3日の様な「フラッシュ・クラッシュ」ではなく、今回は、米国の想定外のイラン司令官殺害で、中東情勢が一気に緊迫し、リスク回避の動きが加速し、安全通貨の円が買われたものです。ドル円は先週末のNY市場で108円を割り込み、107円84銭まで円高が進み、今年最初の取り引きが始まった東京市場でも朝方には107円77銭前後まで円高が進みました。昨年クリスマスの時期には109円台半ばで推移していたドル円が、一気に107円台後半まで円高が進んだことで、株式市場でも日経平均株価は一時500円に迫る大幅安になる場面もありました。
突然の米国によるイラン司令官殺害といった事態に、市場はひとまず利益を確定する動きで反応していますが、今後の展開は不透明で、現時点では読めません。イランが報復に出るのかどうかが大きな焦点ですが、仮に報復に出た場合、トランプ大統領は直ちに激しい攻撃に出ると、警告しています。「米国人と米国の資産を守る」という大義名分を掲げての攻撃でしたが、2020年に入ったことで、多少大統領選を意識したパフォーマンスもあろうかと思います。軍事力では圧倒的に有利である米国を相手に、イランも簡単には報復に出るとは思えませんが、仮に報復を前提に米国が軍事行動に出たとしても、戦闘状態がそう長引くとも思えません。もっとも、これまでに積みあがっている「反米意識」もあり、イランがこのまま放置しておく可能性も低いとは思いますが、簡単には判断できません。
ドル円は例年、年明けから春先まで円高になる傾向がありますが、これには決定的な理由があるわけではなく、一種の「アノマリー」と理解されています。筆者は、今年も1−3月の期間を見たら円高になる可能性を排除していませんでしたが、それでも日米欧の景気や金利水準を考慮したら、年初はドルが買われる展開を想定していました。その意味では、米国によるイラン司令官殺害は想定外であり、驚きでした。朝方からの東京時間の動きを見ていると、一応107円台ではドル買い意欲も旺盛で、株価の大幅下落の割にはドルが小じっかりといった状況ですが、再び海外市場に移ったらドルの下値を試す可能性もないとはいえません。ただもう少し長い目で見たら、最大の懸案事項であった米中貿易協議に一部とはいえ進展が見られたことで、今回の事態がある程度収束すれば、良好な米景気に投資家の目が移ることも十分想定できます。107円台を割り込まないのであれば、この相場観は維持したいところです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
