昨年1月3日の『フラッシ・クラッシュ』に続き、今年も年明け早々、米国がイランの司令官殺害という「想定外」の行動に、ドル円は円高で始まり、その後イランがイラク国内にある米軍施設を攻撃したことで、ドル円は107円台後半まで円高が進む幕開けでした。米国とイランとの武力衝突の可能性も高まり、緊迫した情勢にはありましたが、その後トランプ大統領が「米国の軍事力を行使したくない」と述べるなど、米国が極めて慎重な姿勢を維持したため、ドル円は週明けの東京市場で110円台に乗せ、昨年5月以来となる110円21銭前後までドル高が進んでいます。
今週15日にはワシントンで、昨年12月に合意した「第一段階」の合意文章に米中首脳が署名する予定になっています。またそれに先立ちトランプ政権は中国を「為替操作国」から解除しています。ドル円が110円台を回復した背景には、このようなリスクオン要因があったと考えますが、それもさらに深い所では、11月に迫った大統領選を意識したトランプ氏のパフォーマンスであるとの見方は、市場の一致しているところです。現職大統領であるトランプ氏有利との見方は変わりませんが、調査では、それでも盤石ではなく、トランプ陣営としては「目に見える成果」が必要との意見があります。対中国への一連の決定は、この成果を目に見える形に具体化したものと言えます。
ドル円は約7カ月ぶりに110円台を回復しました。足元ではややリスクオンの流れが高まっていますが、このまま昨年のドルの高値である112円台半ばまで上昇するにはまだ不透明です。上述のように、中国との貿易協議やイラン問題は解決したわけではなく、いわば「小康状態」です。いつまた、トランプ氏の「ちゃぶ台返し」が起こるのか知れません。11月の大統領選が近づけば近づく程、その可能性は低くなると思いますが、今後いつ起きてもおかしくはない状況です。特にイランがさらに米国に対して報復を行うようだと、その可能性は一気に高まります。
一方で、110円台に乗せたという事実は重く、週明けの東京市場では110円台に乗せ、110円21銭まで上昇した後、上値はやや重くはなって来ましたが、110円を一度も割り込んでいません。今週は、ここからの大幅なドル高はないものの、厚めのドル売りを徐々にこなしながらドルが買われる展開を予想します。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
