中国武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。先週2日時点で304人だった死亡者数は10日時点では910人に増え、感染症例に至っては4万171例にまで拡大しています。連日の報道で、この種のニュースには慣れっこになってはいますが、このままでは感染拡大はまだ続きそうです。焦点は、この感染が武漢以外の中国の都市で拡大するのかという点と、もう一つは感染症例が中国以外で最も多い日本で、例えば死亡するなどの感染者が出るのかどうかという点にあると思います。その場合には今回の感染拡大が新たなステージに入ったという認識の基、リスク回避の動きが活発化する可能性があると考えます。
今日のブルームバーグの報道では,ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の専門家の話として、「現在の傾向が続くと仮定すれば、感染拡大がピークに達するまでに感染者数が少なくとも50万人に達する可能性がある」と報じています。また同時に、「感染拡大のピークは2月中旬から下旬になると予測している」とも伝えており、やや希望の持てる状況も想定できます。ドル円は先週の雇用統計発表後に売られましたが、良好な米経済データに変化はなく、依然として景気は緩やかに拡大していると見られます。特に労働市場の伸びは1月の雇用統計の結果も踏まえて、直近3カ月の平均では20.7万人と、非常に好調です。
少なくとも、このデータからここ数カ月はFRBが利下げに踏み切る可能性は想像できません。あるとすればやはり、新型コロナウイルスによる外部環境の大きな変化による影響が考えられます。先週末に公表された半期に一度FRBが議会に報告する「金融政策報告書」でも、「その経済規模ゆえに、中国での深刻な機能不全は、リスク選好の後退やドルの上昇、貿易およびコモディティー価格の影響が見通しへの新たなリスクをもたらした」と明記されており、明日下院で予定されているパウエル議長の証言が注目されます。パウエル議長が新型コロナウイルスによる景気への影響に対して、より「予防的姿勢」を強めるよだと、市場は「利下げ」を意識し、ドル売りに傾く可能性もあります。まだそこまで前のめりにはならないと予想していますが、注視する必要があります。
今週も、中国からのニュースに注意しながら、鍵はNY株式市場の動向です。株価は高値警戒感がありながらも、FRBが短期金融市場で資金供給を増やし続けていることもあり、大きく崩れる気配はありません。また、ユーロドルがこれまで下値のメドであった1.10近辺を大きく割り込んできました。さらに下落して1.09台を割り込むようだと、ドル高が進んでいることになり、ドル円はそれほど深く売られることはないといった連想も働きます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
