NY株の連日の大幅安に、リスク回避の流れが一段と強まり、安全資産の米債券が買われたことで10年債利回りは急低下、先週末のNYでは一時1.14%台まで低下しました。余りの金融市場の混乱ぶりに、先週末にはFRBのパウエル議長が緊急の声明文を発表し、この中で、「適切に対応する」としたことで、今月18日のFOMCでの利下げが確実視されてきました。もっとも、金利先物市場ではすでに次回のFOMCでの利下げを100%織り込んだ動きになっていますが、ここにきて、利下げ幅も25ベーシスではなく、50ベーシスではといった観測も高まってきました。また今週の展開次第では、臨時のFOMCを開催し、早期の利下げに踏み切るのではとの見方も浮上しています。いずれにしても、それほど市場の動揺は大きく、ダウの先週の下げ幅はリーマン・ショックのそれを超えています。利下げを行ったことで、コロナウイルスの感染が止まるわけではありませんが、金融当局としても動かざるを得ないのが実情です。
先週末は「コロナショック」に加えて、「中国PMIショック」も発生しています。発表された2月の製造業PMIと非製造業PMIは市場の予想を大きく下回り、過去最低を記録していました。そのため、週明けのオセアニア市場でドル円は一時、107円をわずかに割り込む場面もありました。今回の新型コロナウイルスの感染により、中国経済はほぼ停止状態になり、1−3月期のGDPはマイナス成長を記録することも確実視されています。世界第2位の経済規模を誇る中国がマイナス成長になることで、欧州や日本、さらには米国にもその悪影響が及ぶことも必至と思われます。今後は米国の経済指標がこれまで以上に注目されることになりますが、まずは2日のISM製造業景況指数が先陣を切り、今週末には2月の雇用統計があり、ここも注目されます。ただ、今回の新型コロナウイルスの感染が中国で拡大したのは2月の初旬でしたので、これから発表される2月の米経済指標にはそれほど影響が及んでおらず、3月分がより注目されることになると思われます。
今週はドル円だけではなくクロス円も含め、どこまで円高が進むのかが焦点です。米金利が急低下し、金利引き下げの余地のとぼしい日銀の政策も足元を見られがちです。週明けの午前中には黒田日銀総裁が談話を発表し、「潤沢な資金供給と市場の安定に努める」とのコメントを出しました。どこまで適切で効果のある政策を講じることが出来るのか不透明ですが、為替市場も、株式市場も一応反応を見せ、先週までに動きの巻き戻しが起きています。今後とも、日米金利差の縮小が続けばドル円の下落圧力が増し、106円に向うことになりかねません。今投資家は、まったく先が読めない「不確実性」と対峙しています。ここは慎重な対応をお願いいたします。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
