投資家の不安心理が収まらなく、依然として金融市場は混乱が続いています。15日の日曜日、FRBは臨時の会合を開催し、今月2度目となる緊急利下げを決めました。政策金利を一気に100ベーシス引き下げ、リーマンショック後に行った「ゼロ金利政策」に再び踏み切るとともに、7000億ドル(約77兆円)の国債を購入することも決めました。この決定が16日(月)の早朝に発表されると、東京時間帯だったにも拘わらず、米国株は先物市場で急上昇しましたが、この日のNY市場ではその努力もむなしく、過去最大の下げ幅となる、2997ドル安の大暴落で取り引きを終えました。
日銀もFRBに歩調を合わせるように政策決定会合を前倒し、政策金利は据え置いたものの、ETFをこれまでの倍となる、年12兆円。さらにREITを1800億円と、CPと社債を合計2兆円購入することも決めました。この決定を受け、日経平均株価は上昇する場面もありましたが、結局前日比429円安で引けています。日米の金融当局が、出来る限りの金融政策を駆使し、機動的に対応したものの、株価の下落を止めることは出来ませんでした。とりわけ米国では、政策金利を一気にゼロまで下げたことで、「これで金融政策の余地はなくなった」という見方も浮上し、株安につながったようです。また、FRBがあえて日曜日に政策会合を開催し、即日ゼロ金利施策を導入したことに、「それほど事態は切迫している」との危機感も広がり、株価が3000ドル余り下げる要因になったとの指摘もありました。今市場にまん延している不安心理は、もはや金融当局の力ではいかんともし難い状況にまで悪化しているようで、今後は政治力による、大規模な財政出動が期待されていますが、仮に財政出動があったとしても、「新型コロナウイルスの感染は止められない」といった冷めた見方もあります。
1月下旬に中国で発生した「新型コロナウイルス」は日本を含むアジアで拡大し、その後イタリアなどの欧州に伝播し、そして今度は米国でも急拡大しています。また、感染者をいち早く「クリスマス島」に隔離し、比較的感染拡大が抑制されていると見られていたオーストラリアでも先週末には感染者の数が1000人を突破し、豪政府は23日からパブやカジノ、レストランの閉鎖など、感染拡大を阻止するため一段と厳しい措置を導入することを決めています。このように、コロナウイルスの感染拡大が止まらないことで、人と物の移動がグローバルな規模で遮断されているのが現状です。ここは、これ以上の感染拡大を防ぐ意味で、極力外出を避け、じっと嵐の通り過ぎるのを待つしかありません。その間に、政府はこれまでにない規模の経済対策を早急に実行することで、今回の危機に対する政府としての「強い意志」を国民に示すべきです。
ドル円は荒っぽい動きが続いています。これまでの相場観ではなかなか太刀打ちできません。下がれば、さらに売りが出て、上がればさらに買いが出るように、「振幅」の大きい相場展開です。無理をせずに、ポジションは小さめにすることをお勧めします。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
