ドル円は先週末のNY市場で大きく下げ107円台まで円高が進みました。月曜日の東京市場でも株価の大幅な下げに伴い、一時107円12銭前後まで円が続伸する場面もありました。先週まで続いていたドル資金調達に伴うプレミアムの上昇が、日米の金融当局の積極的な資金供給により低下してきたことに加え、新型コロナウイルスの感染が米国で拡大傾向を強めていることがドル売りにつながったと思われます。先週末のNY市場では、株価が再び大きく売られ、安全資産の債券が買われ、長期金利は大幅に低下しました。同時に恐怖指数の異名を取る「VIX指数」も上昇しています。
米国では2兆ドル(約216兆円)を超える経済対策が議会を通過し、トランプ大統領の署名をもって発効することになりましたが、米国内では感染拡大が続いており、景気対策による効果への期待感も相殺された格好になっています。週明け月曜日の時点では、米国内の感染者数は12万5000人に迫り、死者数は2000人を超えて来ました。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、新型コロナ感染症による米国の死者数は20万人に達する可能性があると指摘しています。トランプ大統領も29日、政権として新型コロナによる国内の死者数のピークが2週間後になると予想していると述べ、さきに示した米国民の社会距離ガイドラインを4月30日まで延長することを発表しました。これまでは4月12日の復活祭(イースター)までの経済活動再開を目指していましたが、事態の悪化を考慮した格好になりました。4月末までにちょうど1カ月ありますが、この1カ月でピークを迎え、さらに終息に向うことができるのかどうかが焦点になります。もちろん、これは日本にも言えることです。
今週は新型コロナウイルスの感染拡大に注目するとともに、重要な経済指標が発表されますので、こちらにも注目しなければなりません。先ずは、明日発表される中国のPMIです。中国では2月にコロナ感染拡大を防ぐため、武漢市を完全に封鎖し、経済活動もほぼストップしました。今回は3月のPMIが発表され、大きく低下した2月よりは改善が見込まれています。市場予想に対してどの程度上積みできるのかに注目しています。懸念されるは米国の経済指標です。1日(水)には3月のISM製造業景況感指数の発表があります。既に先月の「50.1」から大きく低下すると見られており、予想は「45.0」です。また3日(金)は3月の雇用統計です。こちらも、先週発表された新規失業保険申請件数から考えると、大幅に悪化していることが予想されます。注目の非農業部門雇用者数は10万人の減少が予想されていますが、経済データはいずれも、予想よりも下振れしている可能性が高いと見られており、ドル売り要因とみなされます。予想よりも悪くはないということもあり得ます。本指標により、相場は久しぶりに大きく動くことになりそうです。今週は4月に入り「新年度」が始まり、機関投資家の新規ドル買いも期待されているようですが、実際に動き出すのはまだ先になろうかと思います。今週はドルの下値がどこまであるのかを確かめることになると予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
