ドル円はやや落ち着きを取り戻し、先週1週間の値動きは108円台前半から109円台前半と、1円強の値幅に留まっています。新型コロナウイルスの感染拡大は依然として続いてはいるものの、日本では7日に「非常事態宣言」が発令され、米国でもコロナによる死亡者の数が当初予想されたよりもはるかに少なくなるとの観測が日米の株価を押し上げ、リスク回避の円買いも収まってきました。また、FRBが市場への資金供給を無制限に行うことを発表したことで、ドル資金調達への懸念が後退し、こちらはドルの上値を抑える要因になるなど、明確な方向感が出にくい相場になっています。
今週も引き続きコロナ感染が、どこまで拡大するのかを見極める相場になろうかと思われます。欧米でのコロナによる死亡者はかなりの数に上っていますが、感染者数の伸びは鈍化しており、この傾向が今週も維持できるのかが一つの目安になりそうです。一方日本では、3月の後半までは欧米に比べ、感染拡大をうまく防いできたかに見えましたが、4月に入ってからは感染者数が急増しており、「米国のような状況になる」といった見方も、専門家からは出ています。こちらは、拡大傾向がどこでピークを迎えるのかが焦点です。
また今週は、経済指標の結果にも注目が集まります。まず明日にはIMFの経済見通しが発表されますが、コロナの影響で世界経済はほぼ停止している状況です。相当悪い見通しが出されることは想定内ですが、IMFが景気後退をどの時期まで見込んでいるのかもポイントになります。週末には中国の1−3月期GDPが発表になります。前期は、低下したとはいえ、「6.0%」(前年比)の成長率を維持していましたが、今回は、「マイナス6.0%」と、かなり厳しいマイナス成長が見込まれています。今回の1−3月期のGDPは、ちょうど中国でコロナウイルスの感染が拡大したタイミングと一致します。発生源とみられる武漢市を封鎖し、経済活動がほぼストップした時期と重なります。厳しい数字は予想されますが、市場ではむしろ4−6月期の内容に期待感が集まっており、予想を余程下回らない限り、為替への影響は軽微ではないかと考えています。
ドル円は107−110円でもみ合いが続いています。明確な方向感がない中でも、米長期金利は0.5−0.75%と、極めて低水準で推移しており、そのため金利低下余地の乏しい日本との金利差は、かつてないほど縮小しています。コロナ騒動が落ち着けば、市場は再び日米金利差に着目したドル売りに出て来る可能性はくすぶり続けると思われます。引き続き、ドルの戻りを売るスタンスが有効かと思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
