世界中で感染拡大が続いている新型コロナウイルスですが、欧米では感染者数の増加ペースが明らかに鈍化してきたことから、経済活動を再開する動きも出てきました。米国では、ミシガンやフロリダ、テキサ州が経済活動を再開する模様で、欧州でもドイツやフランス、オーストリアなどが近いうちに規制を緩和するようです。世界で最も多くの死者を出した米国では、その数がすでに3万9000人余りに上り、5万人にも届くと見られています。そのため新型コロナの発生源である中国に対する非難の声も日増しに強くなり、トランプ大統領は、中国がコロナウイルスを意図的に引き起こしたのではないかとの疑問を呈しています。「故意であれば報いを受ける」とトランプ大統領は述べており、「管理できなくなったミスだったのか、故意になされたのか、この2つには大きな違いがある」と語り、ホワイトハウスの新型コロナ対策調整官のバークス氏も「新型コロナのパンデミックに最初に見舞われた国は、その対応に透明性を確保する道義的義務がある」との認識を示しています。
わが国でも「非常事態宣言」が発令されてから今週で2週間目になります。引き続き東京都の感染者数は高水準ですが、先週後半あたりから地方での感染拡大が目立ってきました。盛り場や交通機関での人の数はかなり減少してきましたが、一方で郊外の公園などでは「密」が発生しており、新たなリスクと見る向きもあります先週末は中国のGDPが予想以上に悪化していたことがサプライズでしたが、今後日本の経済データでも同じようなことが起こる可能性が高いと予想されます。「自粛疲れ」が起きるタイミングではありますが、われわれに出来ることは、気を緩めずに出来るだけ外出を避けるしかありません。コロナ騒動はいずれ終息します。ただその「Xデー」が何時なのかが予測できないことで、不安が払しょくできない状況が続いています。
ドル円は方向感がなく、先週後半からは1日の値幅も徐々に縮小してきました。個人的にはまだ、ドルの戻りを売るスタンスが有効かと思いますが、先週トランプ大統領は、これまで自身が繰り返し発言してきた「ドルは強すぎる」といったスタンスから、ドル高支持に転換したのかと思わせる発言を行いました。発言は「ドルはとても強い。強いドルは全体としてとても良いことだ」というものです。この発言の真意はわかりませんが、一部には新型コロナ対策への大規模な財政出動で、その財源となる「米国債を海外の機関投資家に買ってもらうためのリップサービスでは?」といった声もあります。いずれにしても、この発言は「米国の貿易不均衡はドルが強すぎたことによるもの」との強い信念を持っているトランプ大統領の本心とは思えません。まだしばらくは方向感のない展開が続くと予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。