今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
05月11日 〜 05月17日
ドル/円
106.00〜108.00
ユーロ/円
114.00〜118.00
豪ドル/円
68.00〜71.50

先週ドル円はじりじりと値を下げ、一時106円を若干割り込む場面がありました。しかしその流れは続かず、日米の株価の上昇が「円高ドル安」の流れに竿を差した格好でドルが反転し、週明けの東京市場では107円台まで反発しています。下値のメドは105円程度と予想していましたが、その水準を試すこともなく戻っています。ただ、依然として上値は重いと予想しています。先週末に発表された4月の雇用統計では、これまで目にしたこともない数字が並んでいましたが、市場はすでに悪い数字を織り込んでおり、発表後にはドル高と株高が進み、市場には運用先を求める資金がじゃぶじゃぶであることが確認された形になっています。FRBが国債などを無制限で購入することを宣言し、社債に関してもかなり格付けの低いものでも購入対象に組み入れていることが、「市場への資金供給は潤沢」という点で安心感を与えています。

欧米では新型コロナウイルスの感染拡大がピークを超えたようで、各国は感染の収束度合いを図りながら規制を緩和し始めています。今後、ワクチンの開発も進み、感染は徐々に収まると見られますが、一方で懸念されるのが新興国や途上国での感染拡大です。今後これらの国で爆発的な感染が起これば、また新たな問題として浮上してくる可能性もあります。また初期の感染拡大防止に成功した韓国やシンガポールでは、感染拡大の第2波とも思える状況に直面しており、この流れに再び勝ち切れるかどうかが、今後の日本にとっても参考になろうかと思います。ただコロナによる感染がゼロになることはないだろうと見られていることから、今後も毎日感染症例が確認されながらも通常の経済活動を刻む、「WITH CORONA」の時代に入って来ると思われます。

こうなると、今後の市場の関心は米中問題と、米大統領選に移ってきます。今回のコロナ危機の発生源は中国の武漢市と言われています。ポンペオ米国務長官は、「武漢の研究所が発生源であることを示す膨大な証拠がある」と述べ、トランプ大統領も「中国に責任を取らせる」と強気の姿勢を見せています。コロナ問題が収束に向かえば、今回の被害の賠償責任を中国に求める動きが出て来ることは必至です。中国側も米国の姿勢が強硬であれば、対抗措置として、保有する米国債の売却をちらつかせ、場合によっては人民元の切り下げなども手段として使ってくるかもしれません。いずれも米中関係の緊張の高まりにつながり、ドル安要因の一つと見ることができます。

米大統領選まで残り半年を切りました。「トランプ対バイデンの一騎打ち」になりますが、まだどちらが勝利するかは不透明です。現職のトランプ氏有利との評価でしたが、ここに来て新型コロナウイルスの影響からまだ「五分五分」か、ソースによってはバイデン氏有利との情報もあります。沈黙を守っていたオバマ前大統領も明確にバイデン氏支持を掲げ、トランプ氏は「米国を分断している」と非難しています。民主党の大統領候補を争ったサンダース氏の支持を完全に集めるようだと、「バイデン大統領」の芽もないわけではありませせん。2016年11月の大統領選では、クリントン氏有利の前評判を覆して勝利したトランプ氏でしたが、為替市場では「リスクオフ」が急速に進み、一時は100円を割り込む円高に振れたことも記憶に新しいところです。今年の大統領選も、相場への影響は大きいと思われます。

今週の注目材料

  • 5/11(月)
    中 中国4月マネーサプライ
  • 5/12(火)
    日 3月景気先行指数(CI)(速報値)
    中 中国4月消費者物価指数
    中 中国4月生産者物価指数
    米 4月消費者物価指数
    米 4月財政収支
    米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
    米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 5/13(水)
    豪 豪5月ウエストパック消費者信頼感指数
    日 3月貿易収支
    日 3月国際収支
    日 4月景気ウオッチャー調査
    欧 ユーロ圏3月鉱工業生産
    欧 OPEC月報
    英 英3月鉱工業生産
    英 英3月貿易収支
    英 英1−3月期GDP(速報値)
    米 4月生産者物価指数
  • 5/14(木)
    豪 豪4月雇用統計
    独 独4月消費者物価指数(改定値)
    欧 ECB経済報告
    欧 IEA月報
    英 ベイリー・BOE総裁講演
    米 新規失業保険申請件数
    米 4月輸入物価指数
  • 5/15(金)
    中 中国4月工業生産
    中 中国4月小売売上高
    独 独1−3月期GDP(速報値)
    欧 ユーロ圏1−3月期GDP(速報値)
    欧 ユーロ圏3月貿易収支
    米 5月NY連銀製造業景況指数
    米 4月小売売上高
    米 4月鉱工業生産
    米 4月設備稼働率
    米 5月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 5/16(土)
  • 5/17(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。