7月に入って107円台の上へも下へも抜け切れなかったドル円は、先週末のNY市場では106円64銭までドルが売られ、ようやく動きが出てきた印象です。やはりと言うべきか、当然と言うべきか、ドル円を取り巻く材料を見渡せば、ドル安材料が多く、その割にはドルが売られることはなく、これまでの動きでは、むしろ健闘していると言ってもいいと思います。コロナの感染拡大が止まらない米国、黒人暴行死事件をきっかけ再燃した大規模な抗議デモ、大統領選でのトランプ氏への支持率の低下、さらには米中関係の悪化など、ドルが買われる材料はほとんどありません。加えて、米長期金利も低下傾向にありますが、すでにドル円は日米金利差との相関がかなり薄れていると言え、金利の動きにあまり連動していません。そんな中、株価の上昇、とりわけナスダック指数の連日の最高値更新だけは「リスクオン」につながりやすく、ドル高材料と言える状況です。基本的には為替市場全般が、金融市場の中でも蚊帳の外で、多くの参加者が「当面動かない」と考えていることが、相場をより動かないものにしている部分もあります。このままで推移すると、まもなく欧米がサマーバケーションに入ってしまうことになり、その前に動きが出ることを期待したいところです。
その意味で今週は日欧で政策決定会合があり、内容次第では動きが出る可能性もあります。ただ現行政策は維持される見込みで、材料になりにくいと見られます。そんな中、中国景気に対する期待が膨らんでいます。新型コロナウイルス感染拡大をいち早く封じ込めた中国でしたが、その後の景気は堅調で、特に株式と金利が上昇しています。ゴールドマンサックス・グループはリポートで、「中国国内のファンダメンタルズは一段と堅調になっているようだ」とし、「成長は引き続き底堅く、新型コロナは抑制されていると伝えられている。貿易黒字は拡大し、株式相場と金利は上向いている」と指摘しています。(ブルームバーグ)欧米では、ファーウェイなど、中国外しの動きがありますが、今のところその影響は軽微のようです。
ドル円は106円台半ばと、106円前後がサポートになっており、特に106円前後は3月中旬以降、約4カ月間も、この水準を下回っていません。相当底堅い水準かと思われますが、それでも上述のように、ドルが110円に向う状況ではありません。今週、106円台半ばを抜けないようなら、ドルは再び107円台後半から108円前後を試す可能性もあるよう思います。106−108円のレンジ相場が続く以上、こまめに利益を確定しておくことが肝要です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
