ドル円は先週上値が重い展開が続く中、7月28−29日に開催されたFOMC議事録が公開されました。FRBはかつて、将来の金利の道筋に関するガイダンスを明確にする用意がある姿勢を示していましたが、同会合ではそうした姿勢が後退したと思わせるような内容だったことでドルが売られ、翌日の東京時間には105円10銭までドル安が進行しました。ただ、その日のNYでは106円台に押し戻される展開でした。米中間の緊張の高まりなど、ドル安材料がある中でもなかなかドル円は一気に下落するような動きは見せません。背景にあるのが、好調な米株式市場でしょう。ナスダック指数は大台の1万ポイントを達成した後も順調に上昇を続け、S&P500とともに連日の最高値更新中です。株高は基本的には「リスクオン」につながり、避難通貨の円は売られやすい傾向があります。これが、ドル円が下がらない理由の一つになっているものと考えられます。
今週は重要な経済指標の発表もない中、27日から恒例のジャクソンホールでカンザスシティ連銀主催の年次シンポジウムが開催されます。ただ今年は、コロナの影響もあり、オンライン会議ということになります。27日にはパウエルFRB議長の講演が予定されており、例年ですと、今後のFRBの金融政策の方向性を探るという意味で注目されますが、今年はやや趣が異なり、注目度は低いと見られます。イールドカーブコントロール(YCC)は時期尚早との空気が強く、今後の金融政策は「コロナ次第」といった雰囲気が支配的です。非常時の環境の中、引きつづき「FRBとしては出来ることは全てやる」といった文言で締めくくられる可能性もあり、今回に関しては市場の材料にはなりにくいと予想されます。
ドル円の予想レンジは105円〜107円程度と見ますが、動意に欠ける展開が予想されます。円自体に決定的な材料がない以上、やはりユーロドルの動きに頼るしかありません。ユーロドルは1週間前に1.1966まで買われた後、急激に値を下げています。1.20を目前に利益確定のユーロ売りも出て、積み上がったポジションもやや減少しています。今後、再び1.20の方向にユーロ高が進むのか、あるいはここ3週間1.17を一度も割り込んでいないユーロドルが、1.17を割り込むのかが焦点です。短期的に200ポイントほど下落したことで、4時間足までの短いチャートでは売りシグナルが点灯しており、現在は「8時間足」に支えられている状況です。個人的にはユーロの上昇傾向はまだ続いていると判断していますが、1.17を大きく割り込むとこれまでの上昇トレンドに変化が出る可能性もあり、注意が必要です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
