ドル円は105円台半ばから106円台半ばの狭いレンジで、再び膠着を強めています。今週は16日(水)にFOMCが開催されます。相場へのインパクトが大きいイベントだけに、どちらかに抜ける可能性があるかもしれませんが、FRBはすでに先月27日に、臨時の会合を開き、インフレ目標の指針を変更しており、それほど大きな動きにはつながらないことも考えられます。FRBはこれまでのインフレ目標を「2%を到達点とする」ものから「一定期間の物価上昇率を平均で2%にする」とし、2%を超える物価上昇率を容認する考えを示しています。従って、今回のFOMCでは政策変更はないものと予想しますが、同時に「ゼロ金利政策」が引き続き長期にわたって継続される可能性を強調するようなコメントも予想されます。
米国の失業率は過去最悪だった4月の「14.7%」から低下し、直近8月には「8.4%」まで改善していますが、依然として高水準です。FRBの2大責務である「物価の安定と、雇用の最大化」からすれば、たとえその原因が新型コロナウイルスであったとしても、なかなか受け入れられるものではありません。引き続き雇用の最大化を図るために、低金利政策が長期にわたり維持されるといった意図を、フォワードガイダンスを強化するなどして、市場に浸透させたいところです。パウエル議長の発言には注目が集まります。
またFRBは足元の株価の動きにも「配慮」する必要がありそうです。米株式市場は9月に入ってから突如として、これまでの上昇基調に変化が出てきました。とりわけハイテク株の多いナスダック指数は9月2日に最高値の「1万2056ポイント」を記録した後、急激に値を下げ、高値からは10%を超える下げとなり、一般的に「高値から10%下げると、調整入りしたと見られる」水準を付けています。株価のさらなる下げは、個人消費とも大いに関係することから、「FRBは株価のために金融政策を行っているわけではない」との正論はあるとしても、株価の下げは避けたいのも事実。低金利政策の継続を印象付けたいところです。
米低金利の長期化はドルの下落圧力となり、長い目でみたらドル円は下落基調をたどる可能性が高いと予想されます。ただ金利や金利差だけで動かないのが為替の難しさです。足元の106円台前半という水準もそうですが、ただドルを売ればいいというものでもありません。「ドルの上値は重い」といった見方を基本としながらも、引き付けた上で「ドルショート」を狙いたいところですが、それでも、そのまま放置しておくとマイナスになるリスクもあります。
ユーロドルは1.17〜1.20のレンジ内で推移すると見られますが、今後ユーロドルがどちらを抜けるのかという点も、ドル円の方向を見極める上で重要です。FOMCという重要イベントを終えてもドル円が動かないようだと、今週はお手上げです。新型コロナウイルス感染拡大状況、ワクチン開発状況、米大統領選を巡る報道、あるいは米中関係など、材料はありますが、現時点では相場へのインパクトは限定的です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
