先週金曜日の午後、トランプ大統領のコロナ感染に端を発した「リスクオフ・モード」は一応、週明けのアジア市場では鎮静化したかに見えます。医師団の1人が本日、5日にも退院の可能に言及したことや、トランプ大統領自身が病院の外で車から顔を見せ、元気であることをアピールしたことで「最悪の事態は避けられる」との見方が広がっています。トランプ氏は「街頭の素晴らしい愛国者のためにサプライズを用意した」と動画で語るなど、容態によっては本日にも退院するかもしれません。ただ一方では、「外に出たことで他の人たちを危険にさらした」と指摘する専門家もいるようです。トランプ氏の医療チームの中でも会見に一貫性がなく、主治医のコンリー医師の発言も、国民を安心させたいとのトランプ氏の望みを満たすことに重きを置いたためとの見方もあります。(ブルームバーグ)
先週末に発表された「9月の雇用統計」がニュートラルだったこともあり、市場の関心はトランプ氏の容態の行方に集まっています。まだ不透明な部分はありますが仮に本日退院できるようだと、「コロナに打ち勝った大統領」と称され、大統領選にもプラスに働く可能性も出てきます。トランプ氏も「大統領選挙に全力を注ぐ」と語っているように、あと2回残っている直接討論会で猛アピールしてくることになります。逆に、退院が長引くようだと、直接討論会の開催も微妙になり、体力的にも次期大統領には相応しくないといった印象が固定化してくる懸念もあります。
バイデン、トランプ両候補の支持率の差は拡大傾向にあります。第1回大統領候補テレビ討論会の後、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースが実施した世論調査では、民主党候補のバイデン氏がトランプ氏に支持率で14ポイントリードしていると報告されています。バイデン氏53%に対し、トランプ氏は39%で、その差は7月調査時に付けた11ポイントを上回り、今回の選挙戦で最大となっています。しかもこの調査は、トランプ氏がコロナに感染する前に行われたもので、現時点ではさらにその差が拡大している可能性もあります。「郵便による選挙は無効だ」といった訴えを起こさない限り、バイデン新大統領の可能性はさらに高まったのかもしれません。
今週は7日に、副大統領候補によるテレビ討論会が実施されます。批判合戦に終わった第1回大統領候補テレビ討論会を経て、今度は政策論争になる可能性が高いと見られます。多くの有権者が「史上最もレベルの低かった討論会」を二度と目にしたくはないとしており、万が一の時には政権を司ることにもなる副大統領候者による討論会も、多いに注目が集まります。ドル円は、トランプ氏の容態次第ということになりますが、個人的にはややドル高の可能性を想定しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
