先週末には103円台半ばまで売られたドル円は再び104台を回復し、104円60銭台まで反発してきました。ドルの上値が重い展開は変わらないものの、103円〜106円のレンジは維持されており、予想レンジの下限付近では依然としてドル買い需要はあるようです。ドルの戻ったところを売り、「ショートポジション」を作ったとしても、103円台半ばから下方ではすかさず利益を確定する動きが活発かと思います。
動きの鈍いのはドル円だけではありません。ユーロドルでも膠着状態は続いており、先週1週間は1.18〜1.19のレンジ内に収まっています。市場ではドル安傾向が優勢なため、ユーロは底堅い動きにはなっていますが、それでも1.19前後では売りが優勢となり1.2には届いていません。ユーロ圏では新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからず、フランス、ドイツ、スペインではロックダウンの影響から景気が再び下降傾向を見せ始めています。イタリアでは感染による死者の数が5万人を超え、欧州では英国に次いでワースト2になっています。そのためECBは、12月の理事会では何らかの追加緩和に踏み切る可能性が高く、ラガルド総裁もその可能性を示唆する発言を繰り返しています。さらなる追加緩和の実施は、ユーロ売り材料として捉えられ、上記ドル安傾向が進んでも、ユーロが思ったほど買われない理由の一つと考えられます。ユーロドルは23日の海外市場では2週間ぶりに1.19台に乗せる場面もありましたが、1.19台での対空時間は短く、再び1.18台前半まで押し戻されています。ただチャート(日足)を見る限り、ユーロの上昇余地はあるように思えます。「MACD」ではゴールデンクロスを終え、「プラス圏」で推移しています。また、一目均衡表の「雲」がユーロの支えになっている形を見せていることも、その理由の一つです。
今週27日はいよいよ「ブラック・フライデー」です。コロナ禍の状況で、人々の購買意欲は増していると思われます。ストレス発散の「爆買い」も予想され、今年は株価の大幅な上昇により資産効果も見込めます。米国では「ブラック・フライデー」を皮切りにクリスマス商戦がスタートします。低金利に株高が加わり、感染拡大を恐れて人々はネットでの買い物に傾注するものと思われます。アマゾンなどIT企業にとっては再び「商機」となることでしょう。GDPの7割を占める個人消費がどこまでの伸びるのか、来年の米景気を見る上でも重要なイベントとなります。
バイデン次期大統領は着々と次期政権を担う閣僚の指名を行っています。重要閣僚の国務長官と財務長官はほぼ決まったようですが、今後も指名を増やすことによって、敗北宣言を行っていないトランプ氏を「あきらめさせる」効果も狙えると思います。外堀を埋めながら、政権の概要を見せるといった既成事実を積み重ねることで、トランプ氏にダメ押しを行い、世論も味方につけるという戦力のようです。当のトランプ氏は「G20」にも興味を示さず、ゴルフ三昧のようで、すでに諦めモムードも漂っているように感じられます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。