米国では株高の流れが依然として続いており、高値警戒感はあるもののバイデン政権への移行が確実なことや、コロナワクチンへの期待など、安心感が株価を支える構図になっています。米ファイザーとドイツのビオンテックが共同で開発したワクチンは、米食品医薬品局(FDA)が12月10日に開催する会合で取り上げられ、その後使用許可が迅速に下りるものと見られます。米医務総監のアダムス氏は、緊急許可申請について、連邦政府は迅速に審査・許可するよう期待していると述べています。(ブルームバーグ)また、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はNBCの番組で、最優先される人口層の一部が年末までに接種を受けることは「ほぼ確実だ」と語っています。
一方で新型コロナの感染拡大には歯止めが掛からず、米国では27日、1日の新規感染者数が20万人を超え、過去最多を記録しました。感染拡大を受け、カリフォルニア州では、ロスアンゼルス市とサンフランシスコ市ではこの2日間に新たな規制措置が導入されました。また、日本でも先週末には、多くの都市で過去最多の感染者数が確認され、医療ひっ迫が日増しに現実的になってきました。個人的には11月23日の「3連休中の行動結果」が現れる、来週当たりの新規感染者の数が非常に気になるところです。感染「第3波」の勢いは強く、1日の感染者数が全体で3000人を超えても驚きはないと思います。「我慢の秋」もどうやら一部の人だけで、「自分だけは大丈夫」といった考え方がまん延しそうな気配が感じられます。自分自身も含めて、こらから年末年始を迎えるにあたって、細心の注意を払いたいと思います。
今朝の「アナリストレポート」でも述べましたが、ユーロドルの上昇傾向が鮮明になっています。週明けの東京市場でも一時は1.1988近辺まで上昇し、1.20が目前になってきました。目先のレジスタンスは、もちろん9月1日に記録した1.2012近辺ですが、仮にこの水準を抜けると、最早「日足」や「週足」チャートでは上値のメドがはかり切れず、「月足」チャートに頼らざるを得ません。「月足」では1.2125辺りに「120カ月移動平均線」があり、この近辺が次のターゲットということになります。さらにその上はというと、2018年2月に付けた,1.25台半ばまでほとんどレジスタンスがないことになります。もちろん、1.20台ではECB高官からユーロ高をけん制する発言が予想されます。9月の時点ではその効果もあり、1.16台まで400ポイント程押し戻されましたが、今回は再び1.20にチャレンジする可能性が高いと思われます。そうなると、ドル円でも「ドル安円高」が進む可能性が高く、103円割れから3月に記録した、101円台をテストする動きもないとは言えません。今週はISM製造業や非製造業景況指数に雇用統計、さらにはムニューシン財務長官とパウエルFRB議長の議会証言もあり、結果次第では相場が荒れるかもしれません。今年もあと1カ月です。この最後の1カ月は、これまでのような生暖かい相場展開とは全く異なる動きになるかもしれません。最後の1カ月、用心して向かい合うことに損はありません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。