ドル円は相変わらず104円を挟みもみ合いが続き、1.20台前半まで売られたユーロドルは先週再び1.21台半ばまで反発した。ドル安の流れが続いており、対ユーロではドルが売られるものの、円も売られる展開が継続されていると見られます。ユーロ円は126円台で高止まりし、豪ドル円は一段と上昇し、2019年4月以来の高値となる78円78銭近辺まで買われました。ドルの先安観が根強い中、これまで103円台半ばまでドル安が進むと、ドルが反転してきたのは、クロス円での円売りがドル円を支えていた一因であるとも言えます。
先週ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の5000億ユーロ(約63兆円)の増額と適用期間を2022年3月末まで9カ月の延長を決めました。政策変更後ユーロドルは、一旦は売られましたがその後再び1.21台半ばまで上昇しました。今週も引き続きユーロドルの動きがマーケットの中心になろうかと思います。1.22台を示現してECB高官によるユーロ高けん制発言を引き出すのか?あるいは1.20台前半まで再び押し戻されるのか、それによってドル円の値位置も決まって来るでしょう。ECBに続き、今週はFOMC(16日)と日銀金融政策決定会合(18日)も開催されます。日銀の政策会合はそれほど注目度が高くないのはこれまでと同様ですが、今回はFOMCもこれまでと比べ注目度は高くないと思われます。一部には債券購入額の増額、特に期間の長い超長期債などの購入額を増やし、長めの金利を低めに誘導するのではないかといった観測もあるようですが、ドル円の下落要因にはなるかと思いますが、大きな影響はないと予想しています。
パウエル議長が会見で、さらなる追加緩和に「ハト派的」な姿勢を見せるようだと、堅調な株式市場が一段高となり、「株高・ドル安」の流れが強まることも予想されますが、株式市場の一段高はその後の急落の要因にもなりかねず、パウエル議長があえてそこまで踏み切るかはやや疑問です。むしろ米議会の会期末を控え、混迷が続いている経済対策協議が合意に達するのかといった方がより市場にインパクトがありそうです。米経済対策については、依然として議会共和党と民主党の間には、規模や、企業の免責条項を巡って隔たりがあり、市場は「合意」との報には過激に反応する可能性が残っています。コロナワクチンに関する情報は既に消化されていると見ていますが、残るは米経済対の行方です。まだ、「年内合意なし」にかけている投資家は少なくはないと思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。