先週バイデン新政権が始動しましたが、多くの難題を抱えている中での船出です。新政権は直面する難題の中でも、まずコロナ対策を最優先しました。初日のホワイトハウスで国民にマスクの着用を促す大統領令にも署名しています。米国では大統領就任から100日間は「ハネムーン期間」として、新政権の成果や政策に対して批判を控える傾向があるそうですが、それだけにバイデン大統領としても早い段階で「目に見える成果」を挙げたい考えです。
コロナ感染で成果が出て来るようだと、今後の政策運営にも弾みがつき、自信にもなります。反対に、目に見える成果に乏しいようだと、今後の政権運営も、より厳しいものになります。すでに、1.9兆ドル(約197兆円)という大規模な経済対策を発表しており、その中には1400ドルの個人への現金給付も含まれており、GDPの押し上げ効果も見込まれています。バイデン大統領としては、この経済対策案を民主党だけではなく、共和党の支持も受けて成立させたい意向を示していますが、共和党の有力議員の一人であるロムニー氏は、昨年末に9000億ドル規模の経済対策が成立していることを踏まえて、バイデン大統領が提案した規模を「衝撃的」と表現し、難色を示しています。
今週は米国で重要イベントや経済指標の発表があります。27日(水)には、今年最初のFOMCがあります。今日の「アナリストレポート」でも触れていますが、今回の会合では政策の据え置きが予想されます。ただ、今回からFOMCでの投票権を有する地区連銀総裁が替わります。タカ派と見られていたフィラデルフィア連銀のハーカー総裁とクリーブランド連銀のメスター総裁が外れることで、全体としてはハト派色が強まる構成になります。今回の会合では、会合後のパウエル議長の会見のみに注目が集まりそうですが、コロナ感染が高止まりする中、将来の利上げには慎重な姿勢で臨まれるものと思います。28日(木)には第4四半期のGDP速報値が発表されます。事前予想は年率で「4.2%」とされていますが、前回の「33.4%」とは比較になりません。第2四半期が「マイナス32.9%」(速報値)と、急激な落ち込であったことから、その反動という意味合いもあり、比較自体意味がありません。また上述の個人に対する給付金の影響も、2021年第一四半期からその影響が確認されると考えられます。
ドル円は足元では103円台後半で推移していますが、方向はニュートラルと見ています。米バイデン新大統領の就任式も無事に終わり、やや材料難といった状況です。また、ドル円との相関が徐々に強まってきた米長期金利の動きも、1%台を固めた印象ですが、1.1%を挟んでもみ合いとなっています。今週は米株式市場で、注目企業の決算発表があることから、株式市場に端を発した相場の動きになるかもしれません。ナスダック指数は先週末もプラスで終わり、これで3日連続最高値を更新しました。コロナ禍での株価上昇傾向が続いていますが、「合理的バブル」といった文言でこの上昇を説明する声も強まってきました。実体経済とかけ離れた株価の上昇でPERなど、割高を示してはいるものの、超金利下での金融緩和がこの先も継続されると見込まれる中、債券利回りなどと比べても足元の株価は「合理的」だという説明のようです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。