ドル円はやや戻ってきました。102円〜104円のレンジを上抜けし、先週末の欧州市場では一時104円94銭までドルが買い戻され、105円を伺う水準までドル高が進んでいます。まだ「ドル高」という言葉を使うにはためらいもあります。ドル安の「修正局面」といったとこでしょうか。先週末には米株式市場が大きく売られ、リスクオンが急速に後退する場面で、「有事のドル買い」が発生したことは興味深いことでした。今後も株安が続けば、ドルがさらに買い戻されることにつながるからです。引き続き、ボラティリティの高い米株式市場が、ドル円を手掛ける上で重要な変動要因の一つとなっており、目が離せないということです。ただ米株式市場の急落は、これといって株式を取り巻く環境に大きな変化があったわけではなく、個人投資家とヘッジファンドの攻防が市場参加者の不安心理を掻き立てたことが主因でした。SNSを駆使した個人投資家の存在の大きさが今後も続くとは思えません。個人的には、米株式市場が調整局面を迎えたに過ぎないと思います。いずれ緩やかな上昇局面に戻るのではないでしょうか。そうなると、この先ドルがどんどん上昇する地合いではないと思われます。
先週からドルが底堅い動きを見せていますが、特に対円では強い上昇を示しています。そのため円は、対ドルだけではなく、クロス円でも軟調な動きが続いています。特に対ユーロでは円は売られ、先週末には127円半ばまで上昇し、2019年3月以来となるユーロ高水準を付けています。ただ、ドル先安観の相場観を払拭するには少なくともドル円が105円台に乗せる必要があります。105円台に乗せれば、ショート筋の買い戻しも誘発され、もう一段の上昇も期待できそうです。投機筋がポジションメイクを行う、シカゴ先物市場での円の建玉を見ると、先週26日の火曜日時点では減少はしているものの、まだ4万4000枚を超える「円買い」ポジションが残っています。明日2日に発表されるポジションでは、さすがに相当円買いの枚数は減少しているとは思いますが、まだ投機筋はドル安相場観を変えてはいないものと推測されます。
今週末には毎月恒例の「米雇用統計」が発表されます。前回12月分はコロナ感染の拡大に伴う影響をもろに受け、非農業部門雇用者数はマイナス14万人と、市場予想を大きく下回ってしまいました。今回1月も、引き続きコロナ感染は高止まりしており、雇用は大きく改善しているとも思えません。パウエルFRB議長も先月の講演では、「労働市場は回復していない」と述べており、FRBの責務である「労働市場の最大化」を目指す努力をすると語っています。今回の非農業部門雇用者数の予想は、「プラス5万人」と予想されていますが、どれだけ上積みできているのかが焦点です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
