米議会では今年の会計年度予算の大枠となる予算決議案が上下院で可決し、バイデン大統領は自身が掲げる大規模な経済支援策の早期成立を目指すこととなります。先週末に発表された1月の雇用統計では、失業率が6.3%と前月よりも改善していたものの依然として高水準で、非農業部門雇用者数では4.9万人と、市場予想を大きく下回る結果でした。このため、「労働市場の回復にはまだ時間がかかる」といった見方が広がり、バイデン大統領は議会での早期の成立のため、民主党単独での成立も視野に入れているようです。現在上院での議席数が50対50と、ハリス副大統領の賛成票を考慮すれば成立も可能となっており、市場は「早期成立」を先取りする形で、週明けの東京株式市場は大きく上昇しています。
日経平均株価は先週末比、600円ほど上昇する局面もあり、2万9000円の大台を大きく超えています。日経平均株価の2万9000円台回復は30年半ぶりのこととなり、「失われた30年」と言われた日本株にもようやく「春」が訪れたことになります。ただコロナ禍の中、第3四半期の決算発表がピークを迎えており、企業業績は確かに「上方修正」する企業数が「下方修正」する企業数を上回ってはいますが、まだ安心はできません。コロナワクチンが世界83カ国以上で接種が開始されたにも拘わらず、日本ではまだ第一陣の医療従事者への接種も開始されていません。正式な開始時期はいまだに発表されていない状況です。まだまだ予断を許さない状況だと言えます。
ドル円は先週末のNY市場で、105円76銭までドル高が進み、日足の重要なレジスタンスである「200日移動平均線」を一時抜けた形を見せましたが、その後低調な雇用統計の結果を受けて105円30近辺まで押し戻されたため、まだ完全に抜け切れてはいません。週明けの東京市場でも、105円30〜50銭でもみ合っているため、まだ抜け切れていない状況が続いています。この重要な「移動平均線」を明確に抜け切れば、もう一段のドル高も予想できると思われます。ここを抜ければ、少なくとも「日足」チャートでは上方にレジスタンスが見当たらないことになります。支援材料は米長期金利の上昇傾向です。米ゴールドマンは、米長期金利は1.25%まで上昇する可能性があるとレポートで述べています。また先週の報道では、年金など日本の機関投資家の外債投資が再び膨らんでいると伝えられています。2020年の買い越し額は約20.7兆円と高水準に上り、今年1月の買い越し額も2.5兆円と、引き続き高水準です。国内の債券はほぼゼロ金利で、株式も上述のように、久しぶりの高値まで上昇していることから、追加の投資には慎重にならざるを得ない状況で、外モノに向かわざるを得ない事情もあります。これもドル円のサポート材料と見られます。
ただドル円は105円台後半までほぼ一本調子で上昇してきました。仮に106円台があれば、ここからの上昇が一服してもおかしくはありません。昨年2月20日の112円23銭を頂点に、3月9日に記録した101円18銭までの値幅をフィボナッチ・リトレースメントで計算すると、106円70銭近辺が「半値戻し」にあたります。106円台からのドル買いにはやや慎重な姿勢が求められると考えます。今週はドル高が続いたとしても、冷静に、そして慎重に対応したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
