今月に入って上昇を続けていたドル円も、5日に105円77銭まで買われ、一旦は重要な移動平均線である「200日移動平均線」を上回ったものの、その後は押し戻されたことで、結局、レジスタンスゾーンに上昇を抑えられた形になりました。先週は一転して、今度はドルの下値を探る展開となり下落に転じましたが、こちらも104円41銭近辺を底値に反転し、週明け15日には105円台前半で推移しています。先週も述べましたが、足元の短期的な方向性は「ニュートラル」だと考えます。今回ドル円を再び105円台に押し上げた要因は、米長期金利の上昇と見られます。このところ頻繁に「リスク回避のドル買い」という文言を目にしますが、先週末の金融市場は「VIX指数」(恐怖指数)が節目の「20」を13カ月ぶりに下回るなど、まさに「リスクオン」の流れでしたが、ドル円は買われています。米金利の上昇に素直に反応したものと考えられます。
本日の「アナリストレポート」でも触れましたが、米議会予算局(COB)は2021年会計年度の財政赤字が2兆2580億ドル(約240兆円)にまで増加する見込みであることを発表しました。言うまでもなくコロナ感染のパンデミックに伴う景気対策に、大規模な財政支出を計画していることが主因です。大量の国債発行は長期金利の上昇圧力となり、将来の金利上昇に繋がり易いと見られますが、米国ではもう一つの赤字、「貿易赤字」も拡大傾向にあります。昨年2月には中国への関税引き上げに伴い、貿易赤字額は398億ドル(約3兆8000億円)にまで縮小しましたが、11月には690億ドルにまで拡大しています。いわるゆ「双子の赤字」がさらに拡大するようだと、米国債の格下げ懸念にもつながります。そして「格下げ」は、とりもなおさず一段の金利上昇圧力となり、米国債の価格が下落することになります。今後コロナからの脱却が進み、景気回復が確実になれば、財政の健全化が議論になるとは思いますが、米長期金利の上昇がどこまであるのか、為替の先行きを予想する意味でも重要な要素になります。
今週は大きな材料やイベントはありませんが、17日(水)の小売売上高が注目されそうです。コロナ感染がやや沈静化してきた米国では、まだ消費が活発になるとも思えません。一方、株価の上昇は続いており、資産効果による人々の財布の紐はゆるみそうです。「労働市場の回復は程遠い」(パウエルFRB議長)との認識が一般的な中、個人消費の回復の方が一足早いとの見方もあります。
今週は105円台をどこまで伸ばせかに注目しています。上記「200日移動平均線」を超えることができるかどうかが焦点になります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
