1月下旬から上昇傾向を見せ、先週には106円22銭までドル高が進んだドル円でしたが、その後はリスクオンの流れがやや鈍化したことで下落に転じました。ただ、105円台半ばで下げ止まり、再び上昇しましたが106円には届かず、今度は先週末に105円25銭までドル高の修正が見られました。緩やかなドル高基調は変わっていないと見ていますが、ややドルの調整局面が続いています。一方今回のドル高をけん引する原動力となった「米長期金利の上昇」は、依然として続いています。米10年債利回りは一時1.36%台まで上昇し、週明けのアジア時間でも、債券先物市場では長期金利が一段と上昇し、1.39%台まで続伸しています。
米金利の上昇はややピッチが速すぎるとは思いますが、今後米金利が高止まりするとすれば、ドル円のサポート材料となる可能性があり、ドルが下がりにくくなるかもしれません。ドル円は必ずしも米金利にだけ反応するわけではありませんが、ドルが下がりにくくなり、投資家心理も「ドルが下がったところを買う」というスタンスに変わりつつあるのかもしれません。もっとも、米金利の上昇はバイデン政権の大規模経済対策に伴う国債の増発を先取りした動きとも取れ、3月には議会で承認される見込みのある経済対策法案が実際に可決すれば、材料出尽くしから巻き戻しもあり得るかもしれません。ただそれでも米国債の売り圧力は続くかもしれません。
ブルームバーグは、「バイデン政権は1.9兆ドルに続いてさらに大規模な大型経済パッケージを3月にも公表する可能性がある」と報じています。このパッケージは、道路や橋、地方のブロードバンド整備など、「ニューディール政策」以降で最大となるインフラへの支出で、「コロナ禍対応の1.9兆ドル案を規模や複雑さではるかに超える可能性がある」と伝えています。経済合同委員会の次期委員長で、民主党のマクロ経済対策を主導する一人であるドン・バイヤー下院議員は、バイデン政権のコロナ救済パッケージが「かつての成長パターンにわれわれを戻すことに寄与する」と指摘し、「第2のプランの素晴らしさは、GDPを、長期的トレンドを上回るころに押し上げる機会をもたらす」と述べています。また、バイデン氏が掲げる1.9兆ドルの経済対策案は、「いまやこれが下限だ」と述べているとも報じています。アジア時間に米国債が売られ、長期金利がさらに上昇している背景には、この報道が影響している可能性があり、今夜、米債券市場がオープンした際には、もう一段の金利上昇が見られるかもしれません。
今週は明日パウエルFRB議長の議会証言があります。特段これまでと異なる発言をするとも思えませんが、引き続き労働市場の回復度合いが弱いということを理由に、金融緩和政策の継続と、さらに財政出動による支援の必要性を訴えるものと予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
