ドル円の上昇傾向が続き、先週末のNY市場では108円64銭までドルが買われました。円は他の主要通貨に対してはさらに弱く、ポンド円は150円台半ばまで円安が進み、2018年5月以来となるポンド高を記録しています。他のクロス円についても、先週木曜日には記録的な円安水準を付けており、円全面安の展開となっています。米国をはじめ、世界的に金利上昇が続いており、円の長期金利も上昇はしていますが、週明け月曜日でも0.10%台と、日銀が行っている「長短金利操作つき量的・質的金融緩和」政策の範疇を超えたものではありません。日銀は長期金利の誘導目標を「ゼロ%を中心に、プラスマイナス0.2%」としており、黒田総裁も最近の金利上昇について国会で、「変動幅を大きく拡大する必要とも妥当とも思っていない」と述べています。
この結果、日米金利差が拡大し、これが円売りの背景の一因と見られています。また、新型コロナウイルスワクチンの接種が先進国では明らかに遅れており、これも円売りの一因と見られます。ドル円は、日足チャートでは2月23日からのローソク足を見ると、過去10日営業日で、わずか1日だけ「陰線」が見られますが、他の9営業日は全て「陽線」となっています。これは東京時間ではドルの上値が重く、ドルが押し下げられるものの、NY時間では元に戻り、さらに新値を取りに行っている動きがあることを表しています。
ドル高傾向が鮮明になってきましたが、気のなるのはドルの上昇スピードです。上で述べたように、ドル円は調整場面もなく、ほぼ一本調子で買われてきました。「本日のアナリストレポート」でも述べましたが、「110円が視野に入ってきた」と考える市場関係者も徐々に出てきたようです。確かに、先週のようなペースでドルか買われれば、すぐにでも110円に届きそうな勢いです。
ただ、これまでの上昇スピードでこの先もドルが買われる可能性は少ないと考えますが、言えることは、この水準までドル高に来ると、いわゆる「リーズアンドラグズ」が働きやすいということです、石油などの輸入業者は早めにドルの手当てを行い、自動車などの輸出業者は、慌てずにゆっくりとドル売りの注文を出す行動に出るため、ドルの需給に変化が出て来ることが考えられます。その結果、なかなかドルが下がりにくいということにもなります。
110円を見ることになるのかどうか分かりませんが、可能性は出てきました。しかし、かりに110円台を示現したとしても、「利益確定の売り」や「達成感」などから一旦調整すると予想しますが、その水準も「感」ではなく、やはりテクニカルを基本に判断することが必要です。今週は11日(木)のECB理事会が注目されます。ここで、足元の金利高をどれだけ強くけん制する発言が出て来るのか、その内容次第では米金利の動きにも影響を与えます。政策変更はなく、据え置きが予想されています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
