109円23銭まで上昇したドル円は、米長期金利の上昇が一服したことにより、108円台前半まで押し戻されましたが、下値は限定的となり、先週末のNY市場では再び109円台を回復してきました。今回のドル買の材料も米長期金利の上昇でした。米10年債利回りは前回の1.62%を超え、一時は1.6405%まで上昇しています。先週、米議会で1.9兆ドル(約207兆円)の追加経済対策が可決され、予定を早めてバイデン大統領が署名したことで成立したことなどが、債券の売り圧力になったものと思われます。米長期金利の上昇が引き金となり、リスクオンから金融株などの「バリュー株」が買われ、IT株などの「グロース株」が売られ、ダウとナスダックでは明暗を分けています。また、金利高から金(きん)も売られています。
今週の注目は何といっても中銀の金融政策会合でしょう。16−17日にFOMCがあり、18−19日には日銀の決定会合、さらにはBOEの金融政策も18日にあります。いずれも政策変更はないと見られていますが、注目されるのは金利上昇に対する金融当局のスタンスです。パウエルFRB議長は今月4日に、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)主催の講演で、足元の長期金利の上昇に関して、「われわれも目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」と述べ、さらに「2%を大きく超えるインフレ期待を生むほどの水準になるとは思わない」と述べたことで、長期金利が急騰し、ダウは350近く下げるなど、株価が大きく下落しました。パウエル議長が、市場が予想するようなけん制発言をしなかったことで、相場は大きく混乱しました。いわば「パウエル・ショック」といった状況でしたが、今回も同じことをするとも思えません。長期金利の上昇に何らかのブレイキを掛ける発言があるかもしれません。
これまでほとんど「無風」だった日銀の金融政決定会合も今回は注目されています。今回は「金融政策の点検結果」を公表することになっています。市場では主に3つの点が焦点となっており、1つは「長期金利の変動許容幅」です。現在上下0.2%程度とされていますが、これを拡大するとの予側もあります。また現在マイナス0.1%の中銀預金金利のさらなる深堀りも焦点です。そして3つ目がETFの購入額の柔軟な運用です。日銀としては現在の円安傾向を敢えて止める必要性はないと考え、市場には引き続き「緩和政策を根強く行っていく」といったメッセージを残すのではないかと予想しています。結果次第では足元の米金利高に基づく円安傾向が調整局目を迎えることも考えられますが、可能性は低いと思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
