今朝の話題は何と言っても、トルコリラの急落です。
ご承知のように、トルコのエルドアン大統領は20日、中央銀行総裁であるアーバル氏を突然解任しました。同氏は昨年11月に中銀総裁に就任し、足元では高インフレが続き、通貨安が進む状況に歯止めをかけるため矢継ぎ早に利上げを実施し、直近では先週18日、予想を超える「2%の利上げ」を決めたばかりです。この決定を受け、リラ円は先週末には15円台を回復し、ほぼ高値圏で散り引きを終えています。そして20日(土)の中銀総裁解任という「暴挙」に、週明けのリラ円は窓開け、12円70銭台まで急落しています。
昨年11月には歴史的な安値である12円前後までリラ安が進み、その後は度重なる利上げの影響から徐々に値を戻し15円台まで反発した矢先の出来事でした。高金利が魅力のトルコリラでしたが、筆者は常々「エルドアン・リスク」を警告してきました。大統領の「鶴の一声」で中銀総裁の首を簡単にすげ替えることの出来るトルコには、常に「危うさ」が付きまとい、いざ「強権」が発動されたら高金利など、絵に描いた餅も同然で、何の意味も持ちません。事実今朝の急落で「強制ロスカット」に追いやられた投資家も少なくはありません。そもそもトルコは通貨安が長期に渡って続いており、一説には、リラを売って米ドルを買っているのは、「トルコ人」が最も多いと言われています。
大幅な通貨安に加え、インフレ率も高水準で、2月の消費者物価指数(CPI)は前年比で15.61%に達しています。またコアCPIも16.2%と極めて高い数字になっています。通貨安の影響で輸入物価が高騰し、利上げが簡単ではないことからさらに通貨が売られ、CPIを押し上げるといった「悪循環」が続いています。さらにトルコは米ドル建ての債務が多く、通貨安が進むということは、実質的に債務が増えることを意味します。政治的にも米国と距離を開け、ロシアとの距離を縮めています。また隣国シリアからの難民の流入にも歯止めがかかっていません。今後ともリラの上値は限られると予想します。ポジションを持っている個人投資家の方は、出来るだけ「強制ロスカット」にあわないよう、レバレッジを低くし、長期戦に備えるべきでしょう。
先週末の日銀金融決定会合で、日銀は3つの政策見直しを発表しました。その一つに、長期金利の変動許容幅を従来の「プラスマイナス0.2%」から「0.25%」へ拡大しました。市場は、マイナス幅が拡大されたとの認識から「円高要因」との見方を強めていますが、事前に報道されていたこともあり、現時点ではほとんど影響はないようです。ただ、ドル円は109円台までは上昇するものの、109円台ミドルの「レジスタンス・ゾーン」がなかなか抜け切れない展開が続いています。同時に109円台が重いと言った印象も出来つつあります。基本的なドル高トレンドは変わっていませんが、ここからは注意深く動きを見ると同時に、テクニカルもこまめにチェックすることをお勧めします。短期的な動きを示す「1時間足」では、すでにいくつかのサポートを下抜けしています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
