世界中がコロナ禍の影響から経済が疲弊しつつある中、景気の下支えに懸命に取り組んでいますが、その中でも米国の回復基調が顕著になっています。先週発表された各種の経済指標がそれを鮮明に物語っていました。特に先週末に発表された3月の雇用統計では、失業率は「6.0%」と、先月よりも改善しており、非農業部門雇用者数は市場予想を大きく上回る「91.6万人」でした。雇用者については、2月分も速報値の「37.9万人」から「46.8万人」に上方修正されています。好調な雇用統計を受け、短縮取引の中でも米債券市場は「リスクオン」で反応しており、債券は売られています。株式市場と商品市場は休場だったため、今回の雇用統計を反映するのは今夜ということになりますが、恐らく、株価の上昇という形で反応するのではないかと予想しています。
バイデン政権の大規模な財政支出に加え、コロナワクチンの接種も着々と進んでおり、さらにFRBは2023年末まで現在のゼロ金利政策を継続することを宣言しており、これが株価の上昇を通じて国民の資産効果を高めています。このように、米経済は急速にコロナ以前の状況へと突き進んでおり、これがドル高の大きな要因になっていることは論を待ちません。日米欧の中では1歩も2歩も先を歩み始めている米国が、今後その歩みが止まり逆流することがあるとすれば、それは予想以上にインフレが急速に進むケースでしょう。すでに住宅価格はアリゾナ州フェニックなどで前年比15%以上も上昇しており、やや住宅バブルの様相を呈しています。原油価格の上昇もあり、今後消費者物価指数が急激に上昇するリスクはあるのではないでしょうか。もっとも、FRBはインフレ率についても、一時的に2%を超えるのではなく、一定期間2%の目標値を超え、さらに2%を上回って推移する見通しが続くことを条件に、テーパリングを行うことを宣言しており、市場に明確なメッセージを発するとしています。一時1.77%まで上昇した米長期金利が上昇し、どこまで2%に近づくのかが市場の関心ごとです。
6日(火)にはオーストラリア準備銀行(RBA)の政策金利発表が予定されています。現在過去最低の0.1%の金利を適用していますが、今回は据え置きが見込まれています。オーストラリアでは2020年の第1、第2四半期がともにマイナス成長に沈み、長年継続してきた景気拡大に終止符を打ちましたがその後、第3、第4四半期はともにプラス成長を回復しています。また、新型コロナ対策でも徹底した移動制限を敷き、コロナからの脱却には成功しています。失業率も低下傾向を見せており、低金利の影響から住宅市場は活況を呈しています。ただ住宅価格の上昇が続き、直近3月の住宅価格は前月比2.8%上昇と、32年ぶりの高騰を見せています。今後住宅価格のさらなる高騰を抑えるために、金利を引き上げる可能性も予想することができますが、現時点ではその可能性は低いと見ています。
今週ももみ合いながらもドルは高値をテストすると予想します。新年度に入り、機関投資家の運用方針もいずれ公表されると思いますが、引き続き国内での運用難は変わっておらず、海外、勢い米国への投資は高水準になると見られます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
