先週のドル円は米長期金利が低下する中、終始下落基調が続き、週後半には109円までドルが押し戻される展開でした。順調に上昇したドル円でしたが、111円には届かなかったことに加え、そこまでの上昇スピードもやや速く、ドルの一旦下落は当然の「調整」と見ており、今後ドル円がもう一段上昇するには「必要な調整」だったと捉えています。足元のドル円は米長期金利との相関を強めており、今後の相場展開を予想することは、とりもなおさず米長期金利の動きを予想することと「同義語」とも言えます。
一時は1.77%台まで上昇した米長期金利でしたが、このところは1.6〜1.7%で推移しており、どちらかと言えば、上昇傾向が抑制されている状況と見られます。確かにバイデン大統領が提案している8年間で2兆5000億ドル(約273兆円)のインフラ投資計画が一部共和党議員の反対もあり、「大幅な減額がなければ議会を通過しない」と言った見方もあり、債券発行の減額につながる可能性も否定できませんが、ただこれもまだ先行き不透明で、金利低下材料としてはそれほど強いものではありません。パウエルFRB議長が引き続きゼロ金利政策の継続に強い意志を見せたことや、かりに物価上昇が2%を超えたとしても、それは一時的なものだと、多くのFOMCメンバーが声を揃えたことで、市場は落ち着きを取り戻したということのようです。ひとまず2%まで上昇するとの観測もやや下火になっています。
今週は特段大きな材料がないものの、14日(水)からは企業の決算発表が始まり、トップバッターとして同日にはJPモルガンやゴールドマンの発表があります。1−3月期には為替や債券が大きく動き、さらには株式も値幅を伴って好調さを維持してきたことから、好決算が予想されます。リスクオンが強まれば債券が売られことになり、金利上昇圧力が高まります。また、15日(木)の4月NY連銀製造業景況指数と、3月小売売上高にも注目が集まりそうです。ISMが発表した4月の製造業、非製造業の数字は記録的な高水準でした。引き続き3月の「17.4」を上回る「18.8」の高水準が予想されています。小売売上高も、追加経済対策での直接給付金も実施されており、2月の結果を上回るとの予想です。
今週のレンジ予想は109〜110円50銭程度を予想していますが、足元の方向性は「中立」と見ており次の材料次第といったところです。109円以下ではドルが底堅い動きが予想される一方、110円台半ばから上方では、前回利益を取りそこなった市場参加者のドル売りが出易いと見られます。次のFOMC(4月27−28日)までは材料難から、これまでの動きからすると大人しい動きになると予想しています。ユーロドルの上昇も1.123台で抑えられ、その後やや軟調な動きです。チャート(週足)を見ると、2018年2月頃の動きに似ており、チャートの形状もそっくりです。このままドル高が続けば1.15台に向って緩やか下落する可能性がありますが、現時点ではまだそうだと判断はでません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
