バイデン大統領との初の首脳会談を終えた菅政権は、対中政策を強める米国にこれまでよりも一歩も二歩も歩みを進めた格好になりました。今後、中国はもとより、ロシア、北朝鮮、あるいはイランなどとの間で地政学的リスクが増すことも考えられ、ドル円の円高要因として浮上してくる可能性もあるかもしれません。ともあれ、日米首脳会談を無事終えた両首脳は今後「ヨシ・ジョー」と呼び合える緊密な関係を構築できそうです。
先週のドル円はドルが緩やかに下落する流れが続き、108円60銭近辺までドル安が進み、週明け月曜日の東京市場では108円55銭までドルが売られる局面もあり、今週もドル安傾向でスタートとしています。今朝の「アナリストレポート」でも書きましたが、108円30−40銭のゾーンが目先のサポートと見ています。ここを明確に割り込むと、相場の基本と見ている「日足チャート」でもドル安を示唆するサインが点滅するからです。1つは、一目均衡表の「遅行スパン」がローソク足を上から下に抜ける「逆転」です。また、もう一つはすでに確認できますが、「転換線」が「基準線」をやはり上から下に抜ける「逆転」です。上記水準を抜けると、ドルの下落傾向がより鮮明になる可能性があり、その指標を基に「ひとまずドルを売ってみようか」といった投資家も出てきそうです。過去のチャートを振り返っても確認できるように、日足で「逆転」や「好転」が起こるとしばらくはその流れが続くことが見て取れます。因みに今回のドル高局面でドルの上昇を示唆する「好転」を示現したのは1月19日で、それ以来「逆転」は起きていません。またその時のドル円の水準は103円台半ばで、その後111円手前までドル高が進んだことはご承知の通りです。短期的な動きを示す「1時間足」に比べ、トレンドが変わるとしばらくその傾向が継続する「日足」だけに注意が必要です。
今週の注目イベントは22日(木)に開催されるECB理事会です。政策変更はないものと予想しますが、債券購入プログラムに対する政策委員の考えがどのように変化しているかに注目が集まります。一時上昇傾向だったドイツなどの金利も米国と同様に落ち着きを取り戻し、ユーロドルもドル安の影響もあり、1.20を回復する水準まで戻っています。新型コロナウイルスの感染拡大はフランスなどで再びロックダウンの措置を講じる段階まで進み、まだ予断を許しません。コロナ感染の収束見通しがはっきりとするまで、引き続きECBは緩和姿勢を維持すると見られますが、この点に関するラガルド総裁の発言にも注目が集まります。
米国では特に重要な経済指標の発表もなく、引き続き米長期金利の動きが為替の水準を決定する展開が予想されます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
