米長期金利の急ピッチの下げで、ドル円は先週109円台ミドルまで売り込まれましたが、金利が反転したことで再び110円台を回復しています。「日足」チャートでは、「雲の上限」に支えられるような形でサポートされており、この動きは4月下旬に、ドル円が107円台まで売られた際にも見られました。結局ドル円は「支持帯」である雲の上で推移しており、上昇トレンドが維持されていると考えられます。仮にこの雲を割り込むようだと、今年1月26日以来ということになり、トレンドの転換が起きたと考えることができそうです。従って、やや長期的視点での投資を考える場合には、この「日足の雲」を一つの基準と考えると有効だと思います。
2021年も後半に入りましたが、ここでの焦点は何と言っても FRBの金融政策の変更です。その時期が予想よりも早まるのかどうかといった点です。6月のFOMC会合では、2023年までの利上げを見込むメンバーは18人中13人に増えていました。中でも、「私は2022年終盤の利上げ開始を予想している」と発言したセントルイス連銀のブラード総裁のように、年内の利上げを予想するタカ派もいます。この発言によりNYダウは大きく下げましたが、その後は長期金利が急低下したことで、ダウは再び最高値を更新する動きになっています。ドットチャートでは多くのFOMCメンバーが「タカ派寄り」に変化したことは事実ですが、パウエル議長やNY連銀のウイリアムズ総裁のような執行部は依然として利上げには慎重なスタンスと見られます。その多くが労働市場の回復がまだ不十分だという点で一致しています。来月の雇用統計を含み、今後なお数回の雇用統計の結果を確認しないとまだ結論が出ない状況です。
今週は14日(水)に半年に1回のパウエル議長の議会での証言があります。ここでも、上記労働市場の不透明感を前面に出して、今後もその結果に最大の注意を払うといった内容の証言を想定していますが、発言内容次第では相場に変化が出ることも十分あり得ると思います。また、7月は27−28日にFOMCが開催されますが、今回はメンバーによる金利予想はないため、声明文が注目されます。またやや先の話ですが、8月はFOMCがありません。その代わりという訳ではありませんが、毎年カンザスシティ連銀が主催する「ジャクソンホール会合」が8月26−28日まで開かれます。去年はコロナの影響からオンラインでの開催でしたが、今年は「コロナに打ち勝った」こともあり、対面での開催のようです。ジャクソンホールは米国西部ワイオミング州にある避暑地として有名です。あの間欠泉で有名なイエロー・ストーン国立公園も近くにあります。ここで毎年各国の中銀総裁やエコノミストが集まりシンポジウムが開催され、パウエル議長も基調講演を行う予定です。市場の一部ではここで、議長がテーパリングの示唆を行うのではないかといった観測があるため、今年のジャクソンホールは非常に注目度が高くなっています。当面は109円50銭〜111円程度のレンジ相場が続くと予想していますが、上記パウエル議長の議会証言でも相場が動かないようだと、夏枯れ感がさらに強まることもありそうです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
