今週の東京市場は祝日の影響で20〜22日の3日しか営業日はありません。(ただし取引は可能です。)しかも、22日の朝方3時にはFOMCを終えて政策金利の発表があり、日本の祝日をむかえる極めて重要な日になります。政策金利は0.75ポイントの利上げが有力だと思いますが、その背景や、それ以外の利上げ幅の可能性については20日付け「今日のアナリストレポート」をご覧ください。
FRBがインフレ抑制に断固とした決意を持って臨むのであれば、1ポイントの利上げの可能性もわずかですが残っているとみられます。しかし、そこまで大幅な利上げを行えばリセッション入りは避けられない見通しで、果たしてそこまでのリスクを冒してまでも1ポイントという大幅利上げに踏み切るのかどうかです。米国ノムラなどは今回の会合で1ポイント利上げを予想していますが、その動きを米2年債利回りは徐々に織り込み、20日のアジア市場では3.95%まで上昇し、このままいけば9営業日連続の上昇になりそうな気配です。2年債は10年債よりも政策金利の影響を受けやすく、債券市場では大幅な政策金利の引き上げが続くと予想していることの証左とみられます。個人的には0.75ポイントの利上げと予想していますが、仮にそうだとしてもパウエル議長は会合後の会見では、タカ派姿勢を意識した発言を行うとみています。場合によっては11月の会合でも0.75ポイント利上げの可能性があることを示唆し、FRBが依然としてインフレ阻止に強い意志を持っていることを市場に植え付けることを意図した発言を行うことも予想されます。「今日のアナリストレポート」でも紹介したように、FRBの目標である2%の物価上昇を、リセッションに陥ることなく達成するのは非常に難しいことなのかもしれません。パウエル議長は「2%の目標達成には痛みを伴う」と先の会合でも述べていましたが、議長の考える「痛み」とは、どの程度のことを想定しているのかという点が重要です。FRBは「2%物価目標達成」か「リセッション入り」か、という厳しい岐路に立たされています。
ドル円は米長期金利が約12年半ぶりの高水準を付けた割には再度145円を目指す動きにはなっていません。10年債利回が上昇しても、2年債利回がさらに上昇しており、「逆イールド」が一段と広がっていることから「リセッション」が意識されドル高が進まないといった背景があるのかもしれません。それでもここ2週間、ドル円は140円を下回っていません。140円台を固めている動きにも見えますが、債券と株式、あるいは金などはすでに大幅な利上げを見越して軟調な動きを示しており、22日朝方の政策金利発表やあるいは、その後のパウエル議長の会見を契機に再び上昇のきっかけをつかむのでしょうか。パウエル議長は金曜日にもFRB主催のイベントで発言する機会があります。今週は再びドル円が荒っぽい動きみせるのでしょう。秋の行楽シーズンをのんびりと構えているわけにはいかないようです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。