今週は今年最後の「重要イベント」の発表があり、相場の先行きを占う意味では「ヤマ場」となりそうです。今朝の「アナリストレポート」でも触れましたが、11月の消費者物価指数(CPI)の結果と、FOMC後のパウエル議長の会見内容が来年の利上げスタンスについてどのようなヒントを与えてくれるのかに注目が集まります。ブルームバーグの記事にあったように、市場参加者の楽観的な見方をけん制する意味で、タカ派的なコメントを残す可能性は高いとみていますが、一方で11月30日に行われた講演では、「利上げペースを落とす時期は早ければ12月の会合になる可能性がある」と発言し、「政策引き締めにおけるわれわれの進展を踏まえれば、こうしたペースを落とすタイミングの重要性は、インフレ抑制に向けあとどの程度金利を引き上げる必要があるのか、また政策を景気抑制的な水準でいつまで維持する必要があるのかという問題の重要性より著しく劣る」と述べており、この発言から「リスク回避」の流れが後退し、株価は大きく上昇し、金利低下からドル円が大きく売られた経緯があります。
これまで4会合連続で0.75ポイントという大幅利上げを行ってきたこともあり、「利上げペースを落とすこと自体、それほど重要なことではない」と言っているようにも受け取れそうです。慎重な言い回しになることは当然ですが、「インフレはそう関単には収まらない」ことを強調しておくことの方が、FRBにとってものちのち金融政策をやり易いことは過去の歴史が教えています。来年1月以降の利上げペースを予想する上でのヒントが欲しいところです。11月の消費者物価指数(CPI)の市場予想は総合指数で「7.3%」と、先月の「7.7%」よりも鈍化しているとみられています。また、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIも「6.1%」と、10月の「6.3%」からは低下していると予想されています。(いずれも前年同月比)原油価格の急激な低下で、ガソリン価格も1年前の価格を下回る状況にまで下がっており、インフレ率の鈍化はまず間違いないところでしょう。ただ、一方で先週末に発表された11月の生産者物価指数(PPI)や、12月のミシガン大学消費者マインドなど、依然として市場予想を上回る結果を示すものもあります。「人手不足」というインフレの最大の敵が修正されないかぎり、インフレ率は鈍化することはあれ、急激に下がる可能性は低いと思われます。日足の「MACD」では早くもゴールデンクロスが点灯し始めており、ドルの上昇を示唆しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。