今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
12月26日 〜 1月1日
ドル/円
131.00〜135.00
ユーロ/円
139.00〜144.00
豪ドル/円
87.00〜91.00

先週20日の日銀による、イールドカーブ・コントロール(YCC)長期金利の許容幅を0.25%から0.5%に倍増するという「ビッグ・サプライズ」に、ドル円は137円台から一気に130円58銭前後まで売られました。その後市場ではこの決定に対して、「早すぎたクリスマプレゼント」といった言葉や、「嬉しくないプレゼント」などと、揶揄されましたが、ドル円はその後下値を試すことなく、131円台〜133円台で一進一退の動きとなっています。発表される経済指標は、景気の鈍化を示すものの、想定を大きく下回るものではなく、FRBの利上げスタンスを完全に後退させるものではありません。FRBも、インフレ率はピークを付けた可能性が高いと認識しながらも、ブレイキから足を離そうとはしません。

今年最後のFOMC後の会見でパウエル議長は「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」とし、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」と述べ、さらに「まだ十分に景気抑制的なスタンスではないというのが、われわれが今日下した判断だ」と述べ、予想されていたよりも「タカ派的」な発言を行いました。消費者物価指数(CPI)は6月をピークに5カ月連続で上昇率を鈍化させてはいますが、一部の指標では「労働市場」に代表されるように、大幅利上げの影響を無視するかのように、堅調に推移しています。2023年は、この労働市場がいつ明確な鈍化傾向を見せるのかによって、相場予想も大きく異なります。市場のコンセンサスは春先まで小幅な利上げが続き、「それ以降は累積の利上げ効果を見極める意味も含めて、様子を見る」というものです。その様子見の期間が2023年末まで続くのか、あるいは秋までとなり、それ以降は利下げのタイミングを探ることになるのか、現時点ではなかなか判断できません。

今回のレポートが今年最後の「今週のレンジ予想」になります。2023年の相場予想については、来春1月13日(金)の「2023年相場展望セミナー」で詳しくお話することになります。ご興味のある方はHPより早めの参加予約をお願いいたします。とは言っても、今年の相場予想は大きく外してしまいました。ロシアのウクライナ侵攻という想定外の事態もありましたが、それを理由に「弁解」することは控えなければなりませんが、ドル高を予想するもせいぜい、125円前後かとみていました。ただ、その後のドル高基調の継続には、基本的には沿ったコメントを行い、11月以降は「ドル高の修正」を基本としています。その流れは来年1月以降も続くと思われます。従って、来年は早い段階で「ドル安円高」が進むと思われますが、それでも、米インフレの進行は「想定以上に手ごわい」ことを理由に、ドル安の限界にも直面すると考えています。

最後に、この1年、本レポートのご愛読に感謝申し上げます。来年も引き続きよろしくお願いいたします。

今週の注目材料

  • 12/26(月)
    欧米主要市場休場
  • 12/27(火)
    豪 シドニー市場休場
    日 11月失業率
    中 中国11月工業利益
    英 ロンドン市場など、主要欧州市場休場
    米 10月FHFA住宅価格指数
    米 10月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 12月リッチモンド連銀製造業景況指数
  • 12/28(水)
    日 11月鉱工業生産
    米 11月中古住宅販売成約件数
  • 12/29(木)
    欧 ECB経済報告
    米 新規失業保険申請件数
  • 12/30(金)
    米 12月シカゴ購買部協会景気指数
    米 債券市場、短縮取引
  • 12/31(土)
    中 12月中国製造業PMI
    中 12月中国サービス業PMI
  • 1/1(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。