先週は週末以外の日ではほぼドル高が進みました。日米の金融政策会合が開催され、その方向性の違いがドルを押し上げました。FOMCでは今後思ったほど利下げは進まず、一方の日銀では12月会合での追加利上げを見送っただけではなく、1月会合でも利上げが見送られるのではないかと思えるほど、植田総裁の会見は「ハト派的」でした。ただ市場は目の前の情報に過度に反応する傾向があり、このままパウエル・植田両トップが会見で述べた通りに日米金利差が縮小しないのかは不透明です。現に、先週末の1日だけを見ると、FRBが重視するPCE価格指数が市場予想を下回ったことで、金利差に変化は見られない中、ドル円はその日のドルの高値からほぼ2円も円高方向に振れています。常に前のめりになる市場に対しては、相場の方向性をテクニカルなどの指標を駆使しながら確認し、しかも市場と市場参加者の行動を冷静に判断した上で取り組むことが不可欠になります。
来年1月20日にはトランプ氏が大統領に就任し、第二次トランプ政権が始動します。NY連銀のウイリアムズ総裁もCNBCとのインタビューで2025年からの経済見通しに関しては、トランプ氏の政権復活で、「不確実性が著しいことを、ただ強調しておきたい」と述べていました。多くの識者がすでに、金融市場のボラティリティーが相当高まることを指摘しています。トランプ流の、先ずは相手を恫喝し、その後自身に有利になるよう落としどころ(ディール)を決める方法です。すでにカナダとメキシコに対し関税を25%に引き上げると「恫喝」し、慌てたカナダのトルドー首相がフロリダのトランプ邸に飛んだことなどは、そのいい例です。またEUに対しても昨日、米国からガスや石油を大量に購入しないなら、関税を引き上げると言い、パナマ運河の通行料に対しても「パナマが課す料金はばかげている。米国がパナマに示してきた並外れた寛大さを踏まえるとなおさらだ。わが国に対するこの完全な『ぼったくり』は直ちにストップするだろう」と、すでに「トランプ節」は政権開始前にもかかわらず全開の様相です。いずれ、同盟国である日本にも矛先を向けて来るはずです。
今週は、クリスマス休場のため明日24日から欧米など主要市場は休場になり、25日にもオーストラリアや香港など旧英国系の市場はお休みとなり、市場参加者は激減します。相場が飛ぶ可能性がありますので注意が必要です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。