今週は、トランプ大統領と日銀の金融政策決定会合の行方に注目が集まり、それが相場の方向性も決めることになります。大統領就任式は20日(日本時間21日の未明)に行われますが、それに先立ってトランプ氏は19日夜、首都ワシントン中心部の「キャピタル・ワン・アリーナ」で集会を開きました。トランプ氏は、「明日、正午4年間にわたる米国の衰退に幕が引かれ、米国の強さと繁栄、尊厳と誇りの新たな1日が始まる」と宣言し、「われわれはワシントンの失敗した腐敗した既成政治勢力の支配を完全に終わらせるのだ」と強調していました。ブルームバーグは、「就任式前日に次期大統領がこのような大規模なイベントを開催するのは異例だ。しかしトランプ氏は以前から派手なイベントを好み、集会を利用してメディアの注目を集め、支持者を活気付けてきた」と伝えています。
集会では、著名なミュージシャンや俳優などがパフォーマンスやスピーチを行い、トランプ陣営の巨額な資金の後ろ盾となっていたイ−ロン・マスク氏も、トランプ氏と共にステージに上がり、「今後重要になるのは実際に大きな改革を行うことだ。そうすれば米国が今後100年、いや数世紀、永遠に強くなるための基礎を築くことが出来る」と述べ、トランプ氏に負けないくらい「アメリカファースト」を演じ、大風呂敷を広げていたようです。トランプ氏はさらに、「世界がこれまで目にしたこともない、かつてなく積極的で抜本的な国境回復の取り組みを示す。われわれは歴代米国大統領で最高の就任初日、最も偉大な1週間、そして最も非凡な最初の100日間にするつもりだ」と語り、最後に、「われわれの大義に賛同する何百万の勤勉な市民やあなた方がいなければ、このようなことは実現できなかった」と、支持者に訴えていました。
今朝の「アナリストレポート」でも触れましたが、23−24日に行われる日銀の金融政策決定会合では0.25%の追加利上げが確実視されています。先週末の金利先物市場では99%の確率で利上げを織り込む動きもあり、まず追加利上げは動かないところでしょう。すでに「利上げ見送りの選択肢はない」とは思いますが、仮に見送られれば、ドル円は限りなく160円に近づくことになります。ただそれでも、ドイツ証券は今回の決定会合での利上げ確率を「40%」にとどめています。それも、先週の永見野日銀副総裁の講演を受けて確率を引き上げた結果の「40%」です。同社は、筆者が知る限り最もハト派寄りの予想を行っている金融機関の一つかと思います。一方でこれも、それなりの根拠のある判断かと思いますが、要は、利上げが確実である予想の中でも、万が一のことも想定しておく必要があるということです。今週は重要で相場の変動につながり易い材料があるため、心して対峙していくことが求められます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。