今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
2月17日 〜 2月23日
ドル/円
150.00〜155.00
ユーロ/円
156.00〜162.00
豪ドル/円
94.00〜98.00

ご存知のように、米の価格が急騰しています。政府は急遽「備蓄米21万トン」の放出を決めましたが、多くの専門家からは、「これで米の価格が下がるかどうかは分からない」という意見が多いようです。われわれの主食でもある米の価格は、1月27日時点のスーパーの店頭では、前年同期比で82%も上昇しているそうです。(農水省がPOSデータを基に集計)これは明らかに農水省の政策がお粗末だからです。かつて、1970年代には、豊作が続き米の値段が大きく下がった時に、農水省は価格安定のため農家に「減反」を迫りました。農家を守るために、「減反」政策を採った同省が、今度は価格が急騰して国民が困っているのに、価格を下げる政策を採らなかったことは、政策ミスと言われても仕方ありません。「備蓄米21万トン」の放出も、遅すぎた感があります。

今週は21日(金)には、日本の「1月の消費者物価指数(CPI)」が発表されますが、上記米の価格上昇の影響は数カ月のタイムラグをもって財やサービス価格の上昇に波及するとみられています。市場予想は、「総合」で4.0%(12月は3.6%)、生鮮食品を除く「コア指数」では3.1%(12月は3.0%)、さらに生鮮食品とエネルギーを除いた「コアコア」では2.5%(12月は2.4%)と、いずれも前月を上回ると見られています。米国の直近CPIは「総合」で3.0%でした。日米の実質金利を見ると、米国は長期金利が4.47%ですから「1.47%のプラス」です。(4.47−3.0)一方、日本は「2.63%のマイナス」です。(1.37−4.0)一般的に、実質金利がマイナスの通貨は売られ易いと言われていますが、足もとのドル円はやや円高気味の動きを見せています。先月日銀は半年ぶりに政策金利を0.5%に引き上げました。今週発表の1月のCPIが予想を上回るようだと、個人的は次回の追加利上げは7月と予想していますが、これが早まる可能性も浮上します。そうなると、日米金利差縮小と、政策金利引き上げを嫌う株価の下落が、リスク回避の円買いを誘い、150円を割り込む可能性が高いと予想されます。米国ではインフレ再燃の可能性が高いと思われますが、その割には円が徐々に買われる動きが続いています。これは偏に、トランプ政策の不確実性がなせる技かと思います。先週、トランプ氏は「相互関税」を例外なく各国に当てはめていくと宣言しました。自動車や半導体などの関税が引き上げられ、日本も今後厳しい局面に立たされる可能性が高まっています。為替、株式など金融市場は、「トランプ大統領が次に何を仕掛けてくるのか、戦々恐々としている状況」です。大統領就任から2カ月が経ち、就任前から公言していた公約は大方実行に移したと思われますが、まだ手の内を全て見せたわけではありません。「相互関税」は4月に発動するのではないかと言われていますが、ここは推移を見守るしかありません。

今週の注目材料

  • 2/17(月)
    日 10−12月GDP(速報値)
    日 12月鉱工業生産(確定値)
    欧 ユーロ圏1月貿易収支
    米 NY休場(プレジデンツデー)
    米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
    米 ボウマン・FRB理事講演
    加 カナダ1月住宅着工件数
  • 2/18(火)
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    英 英1月失業率
    英 英ILO失業率(10−12月)
    英 ベイリー・BOE総裁講演
    独 独2月ZEW景況感指数
    米 2月NY連銀製造業景況指数
    米 2月NAHB住宅市場指数
    米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
    加 カナダ1月消費者物価指数
  • 2/19(水)
    豪 豪第4四半期賃金指数
    日 1月貿易統計
    日 高田日銀審議委員、宮城県金融経済懇談会で講演
    欧 ユーロ圏12月経常収支
    英 英1月消費者物価指数
    米 1月住宅着工件数
    米 1月建設許可件数
    米 FOMC議事録(1月28−29日分)
  • 2/20(木)
    豪 豪1月雇用統計
    独 独1月生産者物価指数
    欧 ユーロ圏2月消費者信頼感指数(速報値)
    欧 ECB経済報告
    米 新規失業保険申請件数
    米 11月フィラデルフィア連銀景況指数
    米 1月景気先行指標総合指数
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答に参加
    米 ムサレム・セントルイス連銀総裁講演
  • 2/21(金)
    日 1月消費者物価指数
    独 独2月製造業PMI(速報値)
    独 独2月サービス業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏2月製造業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏2月サービス業PMI(速報値)
    英 英1月小売売上高
    英 英2月製造業PMI(速報値)
    英 英2月サービス業PMI(速報値)
    米 2月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
    米 2月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値))
    米 2月S&Pグローバル総合業PMI(速報値)
    米 2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
    米 1月中古住宅販売件数
    加 カナダ12月小売売上高
  • 2/22(土)
  • 2/23(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。