ドル円は、東京市場が祝日であった24日(月)には一時148円84銭前後まで売られ、今年のドルの最安値を記録しました。ただ、その後は買い戻され、週明け25日(火)には150円台を回復するなど、荒っぽい動きを見せながらも、上値の重い展開です。一進一退の動きの中でも、「一歩前進・二歩後退」を余儀なくされている状況と言えます。トランプ政権の政策が読み切れず、関税の行方を含めたリスク回避の流れが続き、特に先週からは日米の株価の下落に加え米金利が低下していることも、市場全体が安全資産に向っている状況であることを表しています。ドル円はテクニカルでも、「週足」で「雲を下抜け」しており、「MACD」でも両線がしっかりと「マイナス圏」に入っています。目先はドルの下値を探る展開が続くと予想されます。
本コメントでは常にトランプ氏の言動に触れているのが現状です。大統領権限を最大限に利用して「紙ストローの使用」にまで口を挟んでいるトランプ氏は、ウクライナ戦争の終結が近いと言い、同時に同国の豊富な天然資源の権益も得ることで合意すると言っています。もはや、この戦争を終わらせるためにはウクライナ側に相当不利な条件を飲ませることは明らかです。ウクライナに豊富なレアアースがあることを、筆者は知りませんでした。トランプ氏が豊富な資源の権益を獲得しようとしたことで注目度が一気に高まりました。ウクライナのレアアース鉱床に関する情報は、主に政府データに基づいていますが、同国の地質調査元責任者でさえ、自国の資源に関する近代的な評価は行われていないと述べていると、S&Pグローバルが報じていました。さまざまな報道によると、ウクライナには10兆ドル(約1500兆円)以上の価値がある鉱物資源があるとされています。かなりの金額です。本来ならば、この貴重な地下資源を財源に今回の戦争で壊滅的に破壊されたインフラの再構築を行い、国として再生する道筋をつけたいところですが、戦争終結のための材料にされそうです。ブルームバーグは「ウクライナに採算の合うレアアース鉱床があるとしても、欧米には克服しなければならない大きな課題がある。採掘は比較的容易だが、原料の加工ははるかに難しい」と伝えています。仮に戦争が終結しても、ウクライナの国としての再生には相当な時間がかかりそうです。
今週は週末28日(金)に、「1月の個人消費・支出データ」が発表されます。1月の消費者物価指数(CPI)が予想以上に上昇していましたが、FRBがより注目している同指数の結果次第では、今後の利下げ回数に大きな影響を与えます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。