7日16日(月)からカナダ、アルバータ州のカナナスキスで「G7首脳会議」が開かれます。「G7の形骸化。G7はすでにお祭り化していて世界の健全化には役にたっていない」など、「G7」の役割は終えたといった意見も多い中、今回はさらにその色合いを増しそうな気配です。
今年1月に発足した第2次トランプ政権。矢継ぎ早に大統領令に署名を繰り返し、マクドナルドのストローの材質にまで口を挟むトランプ氏。極め付きは4月2日に発表した貿易相手国に対する「相互関税」でした。この内容に世界の金融市場は大混乱し、英国と中国が米国と合意に達したことで市場は落ち着きを取り戻しましたが、日本やEUとは未だに交渉が続いています。その間、国内ではロサンゼルスでの大規模なデモとそれを鎮圧するための海兵隊の派遣。外に目を向ければ、相変わらずロシア、ウクライナは戦争相手国への執拗な攻撃を続けており、先週末にはイランまでも新たに戦争に参加する形になっています。このような状況での「G7」でありますが、米国以外の「G6」はトランプ関税に対して強力に反対したいところでしょうが、すでに「G6+1」とか、「米国1強」とか言われている中で、トランプ氏の発言力が増しており、反対の声すら上げられない可能性もありそうです。
「G7では、各国首脳がトランプ大統領をなだめることが主目的となる見通しだ。中東で激化する衝突も、G7の結束力を試す新たな課題となっている」とブルームバーグは伝え、「他のG7首脳はトランプ氏との新たな亀裂を恐れ、ウクライナ問題や気候変動といった問題で結束を示す声明を出すことすら試みない構えだ」と、厳しく論じています。また日経新聞も、「取引(ディール)外交を得意とするトランプ氏にとって、G7はもはや数ある多国間枠組みの一つにすぎない」と批判していました。今回の主催国で、「G7」の議長を勤めるカナダのカーニー首相は「共同声明を出す予定はない」と語っていました。トランプ氏によってより分断化が進んだ米国の後を追うように、「G7」でも分断化が進んでいます。
今週は日米の金融決定会合があります。日銀は追加利上げの可能性はないと思われます。長期金利の上昇傾向が続いていますが、未だに「日米通商協議」での合意がありません。日本に対する関税が最終的にどの水準で決着するのかで、自動車産業あるいはその部品産業に与える影響は大きく、景気全体に与える影響を考えたら「不確実性」が高く、合意を見るまでは動けないのが実情です。そのため、日銀は2026年春からの国債買い入れの減額について検討すると見られ、現行の4000億円からどの程度の額になるのかが焦点になります。また、FRBも今会合では利下げを見送ると予想されます。利下げを見送れば、トランプ大統領から再び批判の声が上がる可能性もありますが、FRBは利下げに踏み切るには、関税や移民、税制を巡る大きな疑問符をホワイトハウスが解決する必要があるとの立場を明確にしています。パウエル議長の会見から、利下げに動き出す要因と時期を探ることになります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。