今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
8月11日 〜 8月17日
ドル/円
146.00〜150.00
ユーロ/円
169.00〜174.00
豪ドル/円
94.00〜98.00

日本に対する相互関税は日米双方の認識の違いがあり、気を持たせましたが、先週末赤沢経済再生相とベッセント財務長官およびラトニック商務長官が話し合った結果、日本側の主張が通り合意に達しました。実施時期に関しては依然として不明な点もありますが、これで晴れて米国へ輸出する際の関税が決まり、輸出企業としても厳しい状況ではありますが、ある程度採算をはじき出すことが出来、安心感が広がりました。これを好感したのか、先週末と連休明けの日経平均株価は連日の高騰を見せ、昨年7月に記録した日中の最高値である4万2849円を超える動きを示しています。ドル円はドルの上値が重い中でも株価の上昇からリスク選好が進み、148円44銭辺りまで円安が進みましたが、大きな動きにはなっていません。今夜発表される「米7月の消費者物価指数(CPI)」を見極めたいとする雰囲気が優勢となっています。

ベッセント財務長官は日本経済新聞社との単独インタビューに応じ、同社は11日付けの朝刊でその内容を報じていました。長官が為替に関してどのような認識を持っているのか、興味のあるところであると同時に、今後の相場展開を予想する上でも極めて重要な点になります。ベッセント氏は「強いドルを支持する」と述べていましたが、そもそも「強いドル」とはどのような定義であるのかとの問いに、「強いドルとは画面上の相場のことではない。他の通貨との相対価格である市場レートではなく、『強いドル』とは米ドルを基軸通貨として維持し続ける政策を指す。良い経済政策が実行されれば、ドルは自然と強くなる」と述べ、対円や対ユーロでドルが上昇することではないと答えていました。また次期FRB議長に求める資質についても述べていました。ベッセント氏は自身の議長就任についてはすでにトランプ大統領に、その意志がないことを伝えていますが、候補者として名前が挙がっている人物に加え、ダラス連銀のローガン総裁やブラード前セントルイス連銀総裁の名前を挙げています。その上で、ベッセント氏は、「市場の信認を得られる人物であり、複雑な経済データを分析できる人物でなければならない。FOMCで投票権を持つ委員は12人で、コンセンサスを得るためにそれを管理できる能力も必要だ。過去のデータに頼るのではなく、鋭敏に先行きを予測できる人物であることも条件となる」と、極めて正論的な意見を述べていました。少なくとも、トランプ大統領がパウエル議長に「遅い!利下げしろ!」と執拗に圧力をかけている姿勢とは異なり、この点ではやや安心できそうです。

今週の焦点は今夜発表の米CPIですが、予想より上振れたしたとしても、149円台、150円台ではドル売り注文が待ち構えているものと思われます。恐らく今月21日〜23日に開催予定の、夏恒例の「ジャクソンホール」シンポジュウムではパウエル議長から利下げに関わるヒントが出るものと予想しています。

今週の注目材料

  • 8/11(月)
    日 東京市場休場(山の日)
    英 英7月消費者物価指数
  • 812(火)
    豪  豪7月NAB企業景況感指数
    豪  RBA、キャッシュターゲット
    中東 OPEC月報
    独  独8月ZEW景気期待指数
    英  英7月失業率
    英  英ILO失業率(4−6月)
    米  7月消費者物価指数
    米  7月財政収支
  • 8/13(水)
    豪 豪第2四半期賃金指数
    独 独7月消費者物価指数(改定値)
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
    米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 8/14(木)
    豪 豪7月雇用統計
    欧 ユーロ圏4−6月期GDP(確定値)
    英 英4−6月期GDP(速報値)
    欧 ユーロ圏6月鉱工業生産
    英 英6月鉱工業生産
    英 英6月貿易収支
    米 7月生産者物価指数
    米 新規失業保険申請件数
  • 8/15(金)
    日 4−6月GDP(速報値)
    日 6月鉱工業生産
    中 中国7月小売売上高
    中 中国7月鉱工業生産
    米 7月小売売上高
    米 8月NY連銀製造業景況指数
    米 7月輸入物価指数
    米 7月輸出物価指数
    米 7月鉱工業生産
    米 7月設備稼働率
    米 8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 8/16(土)
  • 8/17(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。