今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
9月1日 〜 9月7日
ドル/円
143.00〜149.00
ユーロ/円
169.00〜174.00
豪ドル/円
94.00〜98.00

今週は重要イベントが目白押しです。中でも最大の注目は、5日(金)発表の「8月の雇用統計」であることは異論のないところでしょう。先月発表された「7月の雇用統計」では、7月分の数字というよりも、6月、5月分の下方修正幅に筆者を含め、多くの市場関係者が驚きました。6月分は「14.7万人」から「1.4万人」に、5月分は「14.4万人」から「1.9万人」に大きく修正され、合計で「25.8万人」も速報値から減ったことになります。この統計発表直後に、トランプ大統領は米労働省労働統計局(BLS)の局長を突如解任しています。

ウォラーFRB理事は先週、9月会合での0.25ポイント利下げを支持する意向を示しましたが、今週の雇用統計が「経済の大幅な減速を示し、かつインフレが抑制されている場合は、見解を改める可能性がある」と述べていました。さて、8月分の予想は、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比「7万5000人増加」、失業率は「4.3%」と、上昇が見込まれています。5月の分の修正はもうありませんが、6月分についてもこれ以上の下方修正は考えにくいと思います。従って、焦点は7月分の修正と8月分が市場予想に対してどちらの方向に振れるかという点になります。仮に予想の「7万5000人」を大きく下回ることになれば、市場は9月利下げだけではなく、10月利下げも織り込むような動きを見せるかもしれません。もちろん、市場予想を上回る内容であれば、ドルが買われることになるでしょうが、それでも現時点ではドルの上値は限られると思われます。言うまでもなく、ドルの下値のサポートは目先で146円台半ば、大きくは145円が節目になります。その145円の大台を割り込む可能性が出て来るのかどうか、今週でその方向性が見えて来るのではないかと考えています。

明日は、氷見野日銀副総裁の講演が北海道で予定されています。19日の日銀金融政策決定会合で利上げがあるのかどうかのヒントが得られるかもしれません。日銀の利上げ観測は従来よりも高まって来ました。筆者は現時点では「五分五分」と予想しており、以前よりも利上げの確率を高めています。日本の長期金利が先週1.63%台まで上昇したことや、本日(9月1日)は日経平均株価が大きく下げてはいますが、株価の水準も日銀が配慮する必要がない環境に変わってきました。外部環境からすれば日銀が動いてもおかしくはない状況になっています。今月動かないとしたら、10月の利上げの確度はさらに高まると思います。また、9月、10月会合でも利上げを見送った場合、「日銀が円安を意図的に誘導している」と、そんな批判までトランプ政権から飛び出すこともないとは言えません。今週は極めて重要な週になります。

今週の注目材料

  • 9/1(月)
    豪 豪7月住宅建設許可件数
    中 8月RatingDogサービス業PMI
    中 8月RatingDog総合PMI
    欧 ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏7月失業率
    米 株式、債券市場休場(レーバーデー)
  • 9/2(火)
    豪 豪4−6月期経常収支
    日 氷見野日銀副総裁、道東金融経済懇談会で講演
    欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
    米 8月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
    米 8月ISM製造業景況指数
  • 9/3(水)
    豪 豪4−6月期GDP
    独 独9月GFK消費者信頼調査
    欧 ユーロ圏7月卸売物価指数
    欧 ユーロ圏8月総合PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(改定値)
    米 7月耐久財受注
    米 8月自動車販売台数
    米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
    米 ムサレム・セントルイス連銀総裁講演
  • 9/4(木)
    欧 ユーロ圏7月小売売上高
    米 8月ADP雇用者数
    米 7月貿易収支
    米 新規失業保険申請件数
    米 8月ISM非製造業景況指数
    米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(確報値)
    米 8月S&Pグローバル総合PMI(確報値)
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
  • 9/5(金)
    日 7月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 7月景気一致指数(CI)(速報値)
    独 独7月製造業新規受注
    欧 ユーロ圏4−6月期GDP(確定値)
    米 8月雇用統計
  • 9/6(土)
  • 9/7(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。